ムハンマド・アル・ジャウラニ氏は2003年3月、シリアの首都ダマスカスでバスに乗り込み、砂漠を横切ってイラクの首都バグダッドへと向かった。迫り来る米国のイラク侵攻を阻止すると意気込む志願兵らと行動を共にした。イラクで米軍運営の刑務所に5年間収容された後、2011年に帰国した。この時、彼は過激派組織「イスラム国(IS)」の指導者アブバクル・アルバグダディ氏の使者となっていた。ジャウラニ氏は現金を詰め込んだ複数のバッグを携えてシリアに到着した。イスラム過激主義運動を世界に広げる使命を帯びていた。先週、42歳のジャウラニ氏は、自ら率いる「シャーム解放機構(HTS、旧ヌスラ戦線)」が主導する反体制派勢力の指導者として意気揚々とシリア第2の都市アレッポに入った。同勢力はトルコの支援を受けている。ここで予期せぬ電撃的な勝利を収めたことは、ドラマに事欠かない中東情勢においても特に劇的な瞬間となった。
アレッポ制圧のシリア反体制指導者、その大転向
ジャウラニ氏はISやアルカイダと決別して宗教的寛容を表明しているが、疑念を抱く人も多い
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