代官山蔦屋書店の会場で、観客は30人ほどのトークショーでした。講演が終わってから、持参していた「共喰い」のパンフレットにサインを求めたのですが、その時「息子がお世話になりました。本当にありがとうございました」と話しました。

 監督はとても驚いて、私が菅田将暉の実父だと気づいた映画関係者も声をかけてくれました。本当に良い子だと、たくさん褒めてもらい気恥ずかしくもありました。私は撮影時期に本人の精神状態が良くなかったのを知っていたので、よく頑張ったのだなあと感無量でした。

 役作りの努力を見ていると、体重を減らしたり増やしたり、本当に感心します。

 2014年の映画「海月姫」では、女装好きの男子を演じるため、体重を64キロから50キロに落としました。骨盤矯正をして、寝る時にはメディキュットを履いていました。モデルとしてのシーンの撮影もあり、歩く練習のために自宅に置いてあった27センチの真っ赤なハイヒールを見た時にはギョッとしました。

 その後、映画「溺れるナイフ」では、15歳の少年を演じ頬をこけさせるために独自のダイエットを実行していました。食事制限は大変そうでしたが、監督のリクエストにきちんと応えていました。

将来は存在感のある俳優に
父の願う息子の成長

 2017年公開の映画「あゝ、荒野」では、いったん15キロ体重を増やし、短期間で減量と筋肉作りをしながら、どんどんボクサーになっていく様子を実際に撮影しています。

 私がアイスクリームを食べながらテレビを観ていて、横にいた減量中の息子に、「美味しいアイス買ってあるから食べや」と言ってしまってもまるっきり動じることはありませんでした。

 私もテレビに出る時は、できるだけカッコよく映りたいものですから、5キロくらいは落として肌の状態も整えます。テレビ番組をやっていない時は太り気味で、よく妻に「そろそろテレビダイエット始めませんか」と皮肉を言われます。今のテレビは鮮明すぎて、肌もハッキリ映すので「出演者泣かせ」はこの上ありません。