息子はセリフをすぐに覚えられるようです。どんな方法で覚えているのか、本当に不思議に思います。ドラえもんの「暗記パン」(編集部注/文字列を転写させたパンを食べると、まるまる覚えてしまう)でも持っているのではないかと思えるくらいの早さで驚いています。

 ある時、現在進行形の台本が10冊以上も積まれていたことがありました。「台本覚えるから」と自室にこもって1時間もするとギターの音が聞こえてきます。

 将来は阿部寛さん、中井貴一さん、佐藤浩市さんのような存在感のある俳優になってくれると嬉しいと妻とも話しています。

 私は、男の子の人生は「スタンド・バイ・ミー」だと思っています。主役のガリガリの少年が成長していく物語なのですが、彼は少し年長のリーダー力のあるカッコイイ先輩の背中を見ながら学んでいきます。私の場合もそのようにして大きくなってきた気がします。

 大将とは、演技についてデビュー当時からよく議論をかわしました。演技する時の手の位置だとか、背中向きの時の顔の表情だとか、とても細かい部分まで研究しています。

 私は演技とは難しいものだとわかっていますから、頭ごなしの批判はしません。難しいという前提のもとに、同じ目線で話すようにしています。

芸名〈菅田将暉〉でのデビュー
実は父はショックだった!?

 実は、大将のデビュー直前に、事務所から「菅田将暉」という芸名を聞かされた私は、大変ショックでした。大将のデビューが決まり、「これで『菅生』という名前が世に知れ渡る」と期待していたのです。菅生とは、なかなか読んでもらえない名字ですから、ああ、せっかく菅生の読み方を知らしめるチャンスなのにとても残念だなあと思いました。

「君次第で仮面ライダーの歴史が終わる…」素人だった菅田将暉を覚醒させた「仮面ライダー学校」の重圧『スゴー家の人々~自叙伝的 子育て奮戦記~』(トランスワールドジャパン) 菅生 新(著)

 大将も最初は芸名に戸惑っていたようです。「お父さん、俺やっぱりマサキにはなりきれない。ピンとこないわ」と、つい3年程前まで言っていました。今は慣れたようですが、それが本音でした。

「菅生」にこだわった私も、今はオンとオフを切り替えられるので芸名はあったほうが良いと思うようになりました。

「菅田将暉」もカッコイイ名前ですけど、なかなか読めない名前です。「すがた」「すげた」と読む人には出会ったことがありますが、「すだ」とは読めません。「カンダマサキ」とも読めます。俳優や歌手に芸名が多いのは、オンとオフの切り替えができて、ストレスの分散ができるからかもしれません。