石油輸出国機構(OPEC)に対するサウジアラビアの強い影響力は、世界の石油市場における揺るぎない支配力を意味していた。だがその時代は終わった。少なくとも今のところは。サウジは原油価格を高水準に保とうとしているものの、計画通りに進まず苦戦している。サウジにとって、価格が上昇すればインフラ向け支出の拡大に必要な資金を調達しやすくなる。こうした支出には、国内経済を石油依存から急転換させるための1兆ドル(約150兆円)規模のプロジェクトも含まれる。一方、価格上昇はガソリンの値上がりとなってドライバーを直撃し、世界的なインフレ再燃を招くリスクもある。OPECでは、共同歩調を取ることに抵抗する一部の加盟国が増産と短期的利益の最大化を求めている。背景には、米国のドナルド・トランプ前大統領の再選で勢いづいた米シェール業界との競争が激化するとの見通しがある。
サウジ、石油市場で支配力弱まる
米国の生産拡大やOPECプラス内の摩擦などが影響
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