米連邦準備制度理事会(FRB)理事らが主張するほど金融環境が引き締め状態にあるとしても、市場はそのメッセージを受け取っていない。代表的な暗号資産(仮想通貨)であるビットコインの価格は今週、一時10万ドル(約1500万円)を超える水準に急上昇し、ダウ工業株30種平均は4万5000ドル近くで推移している。投資家らは楽しい時間が終わらないかのように盛り上がっているが、FRBがさらに潤滑油を注入すると約束しているときに彼らを責めるのは難しい。
金融メディアのわれわれの友人たちはこうしたビットコイン価格の上昇について、暗号資産に好意的なトランプ政権への賭けだとみている。規制当局がより好意的になるとの見通しが、今年に入ってからのビットコインの124%上昇に寄与したのは間違いない。しかし、資産価格は金、ジャンク債、株式など軒並み高くなっており、投機的な賭けやレバレッジ取引がそれに拍車を掛けていることが多い。
最大のモメンタムトレード(業績やバリュエーションに関わりなく人気の集中する銘柄の勢いを評価して売買する手法)が起きているものの一つはマイクロストラテジー株で、年初来で464%高となっている。売上高がほとんどないにもかかわらず、創業35年のこの小さなソフトウエア会社の時価総額は910億ドルに達している。これはどういうことだろうか。同社はビットコインの保有を膨大な額に増やしており、その価値は現在、約410億ドルに達している。投資家らは、ビットコインに強気の賭けをする手段としてマイクロストラテジー株に資金を注ぎ込んでいる。
マイクロストラテジーは10月、400億ドル超相当のビットコインを購入する計画を発表し、それが同社株とビットコインの購入をさらに加速させた。マイクロストラテジーはビットコイン購入資金をどうやって調達しているのだろうか。後で株式と交換可能な転換社債の発行だ。投資家は、マイクロストラテジーの株価が上昇し続けることに賭け、転換社債を購入する。
2021年初めのミーム株(はやり株)の上昇のように、どのような株でも、そのブームが続いている間は上昇する。だが、ビットコイン価格が下落し、レバレッジ取引が解消され始めた場合、マイクロストラテジーの株価とビットコイン価格の下落は上昇と同じくらい大幅なものになる可能性がある。