モンテッソーリ教育とマインドフルネスに則った子育てなら、子育ての悩みをどう解決する?今回は、子どもの協力性の育み方や兄弟への嫉妬の対応について、Q&A方式で考えてみた。本稿は、島村華子『親子でできるモンテッソーリ教育とマインドフルネス』(創元社)の一部を抜粋・編集したものです。
3~5歳までの子どもは
発達段階的に自己中心主義
Q1 下の子は、負けず嫌いで1番にこだわります。競争心があるのは良いことだと思いますが、負けると泣き叫ぶなど癇癪を起こすので困っています。マインドフルネスやモンテッソーリ教育で子どもの協力性を育むにはどうしたら良いでしょうか?(小3と4歳男子の母)
確かにある程度の競争心は大切ですが、周りは対応に困ってしまうこともありますね。お子さんの年齢を考えると、競争心はごく普通のことです。
4歳前後になると、子どもは競争という概念を認識し始めます(1)。幼い子どもほど、相手への影響を考えずに強制的な手段を使ってもほかの子に勝ちたい気持ちが大きいほか(2)、末っ子ほど競争心が強い傾向にあります(3)。
また、3~5歳までの子どもは、発達段階的に自己中心主義であるのが特徴的です(4)。
これは大人が考えるいわゆる「自己中な人」とは違い、この年齢の子どもはほかの人の目線に立つ考え方がまだ発達していません。このため、競走で負けたとしても、自分以外のだれかが自分より優れていることを理解したり、ほかの人の業績を認識したりするのは非常に難しいのです。
発達上よく見られることとはいえ、お子さんによっては競争心が人一倍強い場合もあるでしょう。PART1でも触れたように、モンテッソーリ教育では、不必要な競走はできるだけ取り除くように設計されています*1が、生きている以上勝ち負けは避けられません。
「負ける」ことに上手に付き合える方法を、いくつか紹介します。
まず、負けた時のために、本人が落ち着ける方法を一緒に探してみましょう。
子どもによっては、休憩したり、一人で過ごしたり、絵を描いたり、音楽を聴いたりする必要がある子もいるでしょうし、マインドフルネスのアクティビティの一つである深呼吸が効果的な子もいるでしょう。
本人が落ち着ける場所、もの、アクティビティなどを、本人とアイデアを出し合ってあらかじめ決めておきましょう。実際に本人が負けるような場面に遭遇した場合は、あらかじめ決めておいたアイデアを思い出させてあげてください。
*1 横割りではなく縦割りの設計であるため、同学年との競走ではなく、異学年内の協力を育む。また、カリキュラムを進めるのに1年ごとではなく3年間の余裕があるため、競走やプレッシャーがなく、個人のペースで学習を進めることができる。
(1) Tsiakara, A., & Digelidis, N. (2012). Ways preschool children aged 4-5 years old express their desire to excel. European Psychomotricity Journal, 4, 41-48.
(2) Hu, Y., & Zhu, Y. (2018). Exploring an age difference in preschool chil-dren’s competitiveness following a competition. Frontiers in psychology, 9, 306.
(3) Sulloway, F. J. (2001). Birth order, sibling competition, and human be-havior. In
Conceptual challenges in evolutionary psychology: Innovative research strategies (pp. 39-83). Dordrecht: Springer Netherlands.
(4) Kesselring, T., & Müller, U. (2011). The concept of egocentrism in the context of Piaget’s theory. New ideas in psychology, 29(3), 327-345.