米クルーズ船大手が快調、株価に上振れ余地Photo:Anadolu/gettyimages

 クルーズ旅行好きにとって、1年で最も心躍る時期が訪れている。業界にとっても喜ぶべきことは多い。

 クリスマス前後から翌年3月まで続く期間はクルーズ業界で「ウエーブシーズン」と呼ばれ、年間で最も予約が集中する。米クルーズ船各社は割引などの販促キャンペーンに力を入れ、対象になるプランは数百日先ということもある。ロイヤル・カリビアン・グループの子会社セレブリティ・クルーズはマーケティング資料でウエーブシーズンについて、米国で大規模なセールが開催されるイベントや祝日を引き合いに出し、「ブラック・フライデー、サイバー・マンデー、プレジデンツデーを一つにまとめたようなもの」と説明している。

 ただ、今年は様相が異なるかもしれない。クルーズ船各社はチケットの事前販売が好調で、大幅な割引を提供する動機が薄れている。その代わりに、各社はドリンクパッケージやメニューのアップグレード、船内Wi-Fi、エクスカーション(寄港地観光ツアー)、2人目の無料招待といったサービスに力を入れる。トゥルーイストのアナリストは今月、2025年のクルーズ予約は従来よりも10~15%ほど速いペースで進んでいるとの推計を示した。一方、全体の客室数は5%程度しか増えていない。

 クルーズは新型コロナウイルス流行を受けた全面的な運航停止を経て、再開にこぎつけた。当初は直前割引が多く、デッキが混雑するということはなかった。ところが、予約から出発までの日数という点で、昨年までに状況は逆方向に振れた。調査会社Mサイエンスの消費者部門担当シニアアナリスト、マイケル・アースタッド氏はそう指摘し、日数が長くなる傾向が続いていると語る。