クルーズ船のイメージ図の前でポーズをとるミッキーマウスとミニーマウスオリエンタルランドが始めるディズニー・クルーズ船のイメージ(7月9日会見にて) Photo:SANKEI

東京ディズニーリゾートの運営企業がクルーズ事業を始めます。乗客定員は約4000人と大きな船で、どこにも寄港しないで戻ってくる、一風変わったクルーズです。船という非日常の空間にディズニーの世界観を創り上げる、さながらテーマパークのエリア新設に近い位置づけといえます。下船するまでずっとディズニーの世界観に浸り満喫できることは、ファンにとってはたまらない魅力。一方で、運営企業はしたたかにビジネスの皮算用もしています。(桜美林大学教授 山口有次)

日本市場では圧倒的に大きい船
ディズニークルーズに期待だらけの理由

 東京ディズニーリゾートの運営企業であるオリエンタルランド(以下、OLC)が今夏、米国ディズニー・エンタプライゼズ・インク(以下、ディズニー社)とライセンス契約を締結し、日本を拠点とするディズニークルーズ事業に参入することを発表した。ランド・シー両パーク以外の事業展開を模索する中、長年の課題だったクルーズ事業がついに実現する。

 OLCのクルーズ船は、ディズニー社が2022年に就航した「ディズニー・ウィッシュ」がベースになるという。船の規模を示す総トン数は14.4万トン、総客室数は約1250室、乗客定員は約4000人。これは日本のクルーズ市場においては格段に大きい船だ。

 25年度に造船に着手し、28年度に就航予定であるが、当面は首都圏発着2~4泊の「無寄港クルーズ」で始めるそうだ。船に乗ってどこにも寄港しないで戻ってくるというのは、船旅を前提とする一般的なクルーズではなく、クルーズ船という空間にディズニーの世界観を創り上げる、さながらテーマパークのエリア新設に近い位置づけといえる。

 乗船すれば、下船するまでずっとディズニーの世界観に浸り満喫できることは、ファンにとってはたまらない魅力となる。一方で、OLCはしたたかにビジネスの皮算用もしている。そしてこの一大事業が成功すれば、日本のレジャー市場を再興する起爆剤になることは間違いない。

次ページ以降、あらゆる面でディズニークルーズ船に期待だらけの理由を、詳しく解説します!料金は、宿泊費に加えて食事やプールなどのレクリエーション、キャラクターとの没入感あふれる体験などを含んだオールインクルーシブであるのも特徴の一つとOLCは言いますが、いくらくらいになりそうなのでしょうか?