資産形成を可能にするのは
結局は複利効果だけ
元本1万ドルが年率10%で成長していくとどうなるか、下に示そう。各行の末尾には運用資産がさらに1万ドル(元本と同じ金額)増えるまでの所要期間を示した(読みやすくするため概数にした)。
1万ドル×1.1×1.1×1.1×1.1×1.1×1.1×1.1≒2万ドル(7年)
2万ドル×1.1×1.1×1.1×1.1≒3万ドル(4年)
3万ドル×1.1×1.1×11.1≒4万ドル(3年)
4万ドル×1.1×1.1≒5万ドル(2年)
この例が示すとおり、1万ドルのポートフォリオで1万ドルのリターンを得るまでには7年かかる。だがポートフォリオの規模が4万ドルなら、わずか2年強で同じ1万ドルのリターンを得られる。全体としてみると16年で1万ドルが5万ドルに増え、トータルリターンは400%になる計算だ。
資産形成を可能にするのは複利効果であって、たまたま良いタイミングに良い投資先をつかんだ数年だけぼろ儲けすることではない。投資家として一番大切なのは、この事実を見失わないことだ。
複利効果のユニークな威力が発揮されるまでには時間がかかる。その過程で急上昇が見込める小さなバイオテック企業に投資するために資金を引き出す、あるいは市場の下落に怖気づいて投資資産を売却してしまう、というのは得策ではない。
このテーマに関する僕のお気に入りの調査は、資産運用会社のフィデリティがまとめたものだ。
同社の経営陣は数百万人いる顧客のうち、運用資産の長期的なリターンが最も高いのはどのような人々か調べたという。
その結果、一番リターンが高いのはフィデリティに口座をつくったことすら忘れていた人々だった(注2)。
出典:Myles Udland, “Fidelity Reviewed Which Investors Did Best And What They Found Was Hilarious,” Business Insider, Septem-ber 4, 2014.