昨年から新NISAがスタートし、株式投資などで資産を増やそうとする機運が日本全体で高まっている。身のまわりで、投資に関する話を耳にする機会も増えただろう。ただし、投資には景気の動向など「不確定要素」がつきもので、運に左右される面があることは否定できない。いったいどうすれば、不運な目に遭わずに、投資で成功できるのだろうか?
そこで今回は、「読むと人生が変わる」「『金持ち父さん 貧乏父さん』以来の衝撃の書!」と絶賛されている、全米ベストセラー『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の著者ニック・マジューリさんの来日に合わせ、インタビューを行った。(取材/国際ジャーナリスト 大野和基、構成/ダイヤモンド社コンテンツビジネス部)
いつ、どうやって投資を始めればいいのか?
――「投資には興味があるけど、いつから、どのくらいの金額で始めればいいのかわからない」と二の足を踏んでいる人も多いはずです。投資を始めるべきタイミングと、収入のだいたい何%を投資に使えばいいか、アドバイスをお願いします。
ニック・マジューリ 経済的な状況は人それぞれ違うので、投資の開始時期や投資に充てるべき額については、基本的に自分で判断すべきだと思います。
その前提で、一般論としてまず重要なのは、現時点で貯蓄できる金額をきちんと把握することです。その額は、収入の5%かもしれませんし、10%かもしれません。自分が今後1年間に「無理なく貯金できる額」を計算してみましょう。
その計算の結果、投資に回す十分なお金がないとわかれば、次にカギになるのは「収入を増やす」ことです。
収入が増えるのと全く同じペースで支出が増える、つまり収入のアップ分をすべて消費に回すという人はあまりいないと思います。なぜなら、同じものに対する支出が増えるほど、それによって得られる満足感やメリットは減っていくからです。
なので、収入が上がるにつれて、貯蓄がしやすく、そして投資資金が確保できるようになるはずです。そして、投資資金が確保できたら、できるだけ早く投資に着手すべきです。
その理由については、本書13・14章でデータを使って解説した通りですが、いわゆる「バイ・ザ・ディップ」(底値を待って買う)という投資法は、長期的には「ジャスト・キープ・バイイング」(とにかく買い続ける)というメソッドには勝てないからです。
お金があるのに投資を始めようか迷っている人には、「今すぐ始める」の一択しかないということを伝えたいですね。
金融市場における「不変の真実」
世界的な投資家ウォーレン・バフェットも、次のように雄弁に語っている。
「20世紀、米国は2度の世界大戦や、大きな痛手を被り、多額の費用が必要な戦争をいくつも経験した。さらに、大恐慌や、十数回の景気後退期、金融恐慌もあった。石油ショックも、インフルエンザの大流行も、不祥事を起こした大統領の辞任もあった。それでもダウ平均株価は66ポイントから1万1497ポイントに上昇した」
この論理は、米国市場だけに当てはまるものではない。世界中の株式市場は長期的にプラスの傾向を示している。
こうした経験的証拠は、私たちができるだけ早く投資すべきであることを示唆している。なぜなら、ほとんどの市場がほとんどの期間上昇しているということは、投資するのを遅らせれば遅らせるほど、いざ投資するときに高い価格を払わなければならなくなるからだ。
だからこそ、最適な投資時期を待つのではなく、今できる投資を思い切ってすべきなのだ。(P.253~254)
(本稿は、『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の著者ニック・マジューリ氏へのインタビューをもとに構成しました)