昨年から新NISAがスタートし、株式投資などで資産を増やそうとする機運が日本全体で高まっている。身のまわりで、投資に関する話を耳にする機会も増えただろう。ただし、投資には景気の動向など「不確定要素」がつきもので、運に左右される面があることは否定できない。いったいどうすれば、不運な目に遭わずに、投資で成功できるのだろうか?
そこで今回は、「読むと人生が変わる」「『金持ち父さん 貧乏父さん』以来の衝撃の書!」と絶賛されている、全米ベストセラー『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の著者ニック・マジューリさんの来日に合わせ、インタビューを行った。(取材/国際ジャーナリスト 大野和基、構成/ダイヤモンド社コンテンツビジネス部)

投資の初心者でも「不労所得」がたやすく手に入る“最強の方法”Photo:Adobe Stock

より多様な資産を、長い時間をかけて買い続ける

――「ジャスト・キープ・バイイング」(とにかく買い続けなさい)というメッセージが、他の投資哲学と違うのはどんな点ですか?

投資の初心者でも「不労所得」がたやすく手に入る“最強の方法”ニック・マジューリ(Nick Maggiulli) Ritholtz Wealth Management社の最高執行責任者兼データサイエンティスト。同社の業務全体を監督し、ビジネスインテリジェンスの観点から有益な分析を行っている。ウォール・ストリート・ジャーナルやCNBC、ロサンゼルス・タイムズ等に記事を寄稿。緻密なデータに基づくパーソナルファイナンス関連の人気ブログ「OfDollarsAndData.com」を執筆している。スタンフォード大学卒(経済学学位)。ニューヨーク市在住。本書が初の著書。

ニック・マジューリ ほかの投資哲学と比べて、「より多様な資産を」「より長い時間をかけて」買い続けることに重点を置いているのが特徴です。

 これまでにも投資関連のベストセラー本はありましたが、 「米国株をひたすら買えば安心だ」という安直なメッセージを謳うものが多く、個人的には少し危うさを感じていました。

 というのも、私たちは2010年以来の過去14年間、米国株が他のすべての株式よりも高いパフォーマンスを出している時期に、「偶然」居合わせているだけだからです。しかし、2000~2010年の米国株は、世界でもワーストレベルのパフォーマンスでした。

 なので、「米国株を買えば万事OK」というメッセージは、物事を単純化しすぎています。そのような主張は、いつ有効性を失うかわからないのです。

 もちろん、今後10年にわたって米国株が好調に推移する可能性もありますが、未来に何が起きるかは誰にもわかりません。そして、その不確実性に賭ける必然性もありません。だからこそ、私は投資する資産の「分散」を重視しているのです。

 現時点では、私のポートフォリオは米国株単体のパフォーマンスよりも下回っています。なぜなら、私は米国株だけでなく、日本株も含めて海外株もたくさん所有しているからです。

 でも、私はそれで問題ないと考えています。それは、米国経済にボラティリティが生じたときには、米国株のみに投資している人よりも低リスクだとわかっているからです。そのことが、私の心にある種の平安を与えてくれます。

「とにかく買い続ける」という明確なメッセージ

 「ジャスト・キープ・バイイング」とは、収益を生み出す様々な資産を継続的に購入することだ。収益を生み出す資産とは、将来的に不労所得を生み出せる、株式、債券、不動産などの資産のこと。
 正式には、このアプローチは「ドルコスト平均法(DCA)」(長期にわたって金融資産を定期的に購入すること)として知られている。
「ドルコスト平均法」と「ジャスト・キープ・バイイング」は、実質的に同じことを意味している。唯一の違いは、その名称だ。後者にはその名称に、「とにかく買い続ける」という、よりはっきりとした投資哲学、つまり明確な“心理的動機”が込められているといえるだろう。(P.14~15)

(本稿は、『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の著者ニック・マジューリ氏へのインタビューをもとに構成しました)