昨年から新NISAがスタートし、株式投資などで資産を増やそうとする機運が日本全体で高まっている。身のまわりで、投資に関する話を耳にする機会も増えただろう。ただし、投資には景気の動向など「不確定要素」がつきもので、運に左右される面があることは否定できない。いったいどうすれば、不運な目に遭わずに、投資で成功できるのだろうか?
そこで今回は、「読むと人生が変わる」「『金持ち父さん 貧乏父さん』以来の衝撃の書!」と絶賛されている、全米ベストセラー『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の著者ニック・マジューリさんの来日に合わせ、インタビューを行った。(取材/国際ジャーナリスト 大野和基、構成/ダイヤモンド社コンテンツビジネス部)
本書が投資家たちの「心のよりどころ」に
――今年の8月5日、日経平均株価が前日比4451円安となり、1987年10月のブラックマンデー翌日の下落幅を超えて歴代1位を記録しました。
日本では金融不安が広がった中、本書の「ジャスト・キープ・バイイング(相場の変動に惑わされず、とにかく資産を買い続けなさい)」というメッセージが個人投資家の間で「心のよりどころ」となり、Xでは#justkeepbuyingというハッシュタグが流行しました。
結果的に市場は回復し、ニックさんの主張が正しいことが証明されましたが、読者からのこうした反響をどう思いますか?
ニック・マジューリ(以下、ニック) 著者として、読者が本のコンセプトを支持し、投資の現場で実践してくれることほどうれしいことはありません。感謝の気持ちでいっぱいです。
私はそのときの日本市場で起きたことの全容を把握してはいませんが、結果的に市場が回復したのは、日本の金融システムに根本的な問題がなかったからでしょう。おそらく、影響力の大きい一部のトレーダーが動いたのが原因だと思います。
多くの場合、市場が急落すると、投資家というのは必要以上に心配になってしまうものです。個人的には、リスクを過大に評価したという点で、今年8月の日本市場の暴落は1987年10月に似ていると考えています。
というのも、確かに「ブラックマンデー」は歴史的暴落でしたが、その後はかつての世界恐慌ほど深刻な事態にはなりませんでした。むしろ、1980~2000年の長いスパンで米国市場を見れば、投資家にとって史上最高の20年間だったと表現できるほどの好況でした。
相場の急落は「日常茶飯事」だと思えばいい
ニック そもそも、相場の急落というのは「日常茶飯事」だということを理解するべきです。そうすれば、下落のたびにいちいち心が乱れることはなくなります。
米国の株式市場ですら、ある年の1月1日から12月31日までの1年間で株式市場がプラスだったとしても、そのうちの一定期間は下落基調になるのが常です。10%ほど下落することも珍しくありません。したがって、日々の相場変動を心配する必要はないのです。
本当に心配すべきなのは「非常に大きな」下落ですが、幸いなことに、少なくとも歴史的にはそうした暴落は極めてまれです。
「ジャスト・キープ・バイイング」という投資哲学を実践するかぎり、日々の相場の変動に一喜一憂する必要はありません。長期的な目線で考えればいいのです。
(本稿は、『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の著者ニック・マジューリ氏へのインタビューをもとに構成しました)