しかし、日本人はちょっと事情が違う。多くの国民は、「お客様第一主義」みたいなスローガンにすぎないメディアの「中立公正」を真に受けてしまって、世界的に見ても「異常」というほどマスコミへの信頼度が高い。例えば、2017年から20年の「世界価値観調査」で先進国のマスコミ信頼度を見ると、アメリカは20%台、欧州は30%台なのに日本だけが60%台である。

 そういうピュアな国民がゆえ、簡単に操られてしまう。

 オールドメディアだろうが、ユーチューバーだろうが、匿名のSNSアカウントだろうが、「わかりやすいストーリー」を吹聴されるとすぐに信奉者になる。しかも、タチが悪いのはピュアがゆえ、その「正義」を広めようと、異なる考えの人間たちに制裁を加えようとすることだ。その典型がネットリンチだが、今回はそれが「不買運動」となったというワケだ。

「いやいや、確かに会長CEOの発言はちょっとした誤解があるかもしれないが、亀田製菓が中国産であることは多くのネットユーザーが突き止めている事実だ。不買運動は誰にも操られているわけではなく自分たちの意志だ!」という猛烈なお叱りを受けるだろうが、その話もちゃんと検証をした話なのかという問題がある。

パッピーターンはもう食べない!
「中国産」に怒る人が知らない現実

 亀田製菓の中で「中国産のもち米」を原材料にしているのは「梅の香巻」だけだ。「柿の種」の米粉も国産だし、ハッピーターンのうるち米は米国産と国産のブレンドだ。

 しかも、この「梅の香巻」は中国で製造をして、日本に輸入している。もともと亀田製菓はグローバル食品カンパニーを目指しており、1989年から北米に進出しているだけではなく、2003年に中国・青島に製造拠点として「青島亀田食品有限公司」を設立している。

 今回こうやって鬼の首をとったかのように「亀田製菓は中国産を使っていたぞ」と大騒ぎをしているが、探そうと思えば亀田製菓以上の中国産を使っているメーカーなど日本には山ほどある。昨日もスーパーで買い物がてら、売り場にある菓子を確認したが、「中国産原料」を用いていたものをちょこちょこ見つけられた。これは当然だ。