「僕はもう二度と誰も悲しませたくありません」少年院の模範生とまさかのテレビで“再会”【マンガ】『ケーキの切れない非行少年たち』(c)宮口幸治 鈴木マサカズ/新潮社

児童精神科医による大ヒット書籍のコミカライズ版として、くらげバンチ(新潮社)で連載されている(原作/宮口幸治、漫画/鈴木マサカズ)。今回は、第3話「卒院」から、原作の立命館大学教授で児童精神科医の宮口幸治氏が漫画に描けなかったエピソードを紹介する。

少年院での11カ月、日々のスケジュールが細かく決められている

 某県の少年院で精神医療業務を勤める精神科医・六麦克彦は、4年前に少年院に収容されていた田町雪人が、逮捕されたことを知ります。六麦は田町の4年前を思い出し、彼が「模範生」に変化していったことを回想するというのが3話のあらすじです。

 少年院の在院期間は通常11カ月です。

 ただ何か問題を起こしたり、不真面目に過ごしていたりすると期間が伸びることもあります。また帰住先が見つからない(少年の引き取り手がない)場合、見つかるまで少年院に居続けることもあります。

 少年院では集団生活が基本で、寮ごとに配属されます。他の少年たちと衣食住を共にする中で、さまざまな生活の基本を学び直していきます。社会では不規則で身勝手な生活をしていた非行少年たちは、まずは規則正しい生活を強いられることで矯正教育の入り口に立つのです。

 少年院の一日は細かく決まっています。少年院によりますが、7時起床、7時半~8時半朝食、9時に朝礼の後は、各教育活動に分かれます。昼食を挟んで午後の活動を続けます。

 教育活動には、中学生年齢への義務教育の教科指導、高校生年齢以上は職業指導、共通して非行別講座や社会復帰支援などがあります。

 そして、だいたい16時頃には寮に戻り17時に夕食。18時~21時までは日記を書く、担任教官と面接をする、非行の学習をする、勉強する、寮ミーティングをする、集団でテレビ視聴する、余暇時間を過ごす(読書など)等にあてられます。

 マンガの中でも田町少年は寮生活を通して少しずつ少年院生活に慣れていきます。農場で野菜を育て収穫したり、洗濯係になってみんなの衣服を洗濯したり、食事係になって配膳を行うなどの役割活動を通して責任感を身に付けていきました。

 すると、それまで自分勝手に生きてきて他人にたくさんの迷惑をかけてきたことに次第に気づき始めます。また定期的に母親が面会に来てくれることで、こんな自分でも待っていてくれる家族がいる、と改めてありがたみを感じます。

 真面目に頑張る田町少年は日の経るにつれ教官から認められ、運動会でも院生の代表として選手宣誓をするなど模範生となっていきます。

 11カ月がたち、とうとう田町少年が出院することになりました。出院式で田町少年は大勢の院生や保護者の前で「もう二度と誰も悲しませたくありません」と述べ、母親は涙します。

 まさかその4年後に殺人の容疑者として逮捕されるなど、母親や少年院教官、そして六麦医師も予想できなかったでしょう。

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 原作者である宮口幸治は、児童精神科医として、実際に医療少年院の勤務歴がある。その経験から書いた『ケーキの切れない非行少年たち』(新潮新書)をマンガ化した作品だ。マンガの続きは「ケーキの切れない非行少年たち」でチェック!

『ケーキの切れない非行少年たち』(c)宮口幸治 鈴木マサカズ/新潮社『ケーキの切れない非行少年たち』(c)宮口幸治 鈴木マサカズ/新潮社
『ケーキの切れない非行少年たち』(c)宮口幸治 鈴木マサカズ/新潮社『ケーキの切れない非行少年たち』(c)宮口幸治 鈴木マサカズ/新潮社
『ケーキの切れない非行少年たち』(c)宮口幸治 鈴木マサカズ/新潮社『ケーキの切れない非行少年たち』(c)宮口幸治 鈴木マサカズ/新潮社