この連載は、『医師が教える 子どもの食事 50の基本』の著者で、赤坂ファミリークリニックの院長であり、東京大学医学部附属病院の医師でもある伊藤明子先生によるものです。テレビなど多数のメディアに出演されている信頼度の高い人気の医師です。
本書の読者からは、
「子を持つ親として、食事の大切さがよくわかった」
「何度も読み返したい本!」

といった声がたくさん届いています。不確かなネット情報ではなく、医学データと膨大な臨床経験によってわかった本当に子どもの体と脳によい食事。毎日の食卓にすぐに取り入れられるヒントが満載です。今回は皮膚の対策について解説します。
※食物アレルギーのある方は必ず医師に相談してください。

【小児科医が教える】肌が乾燥する子、しない子。「保湿する」以外の、決定的な違いとは?Photo: Adobe Stock

DHA、EPAなどオメガ3の不足・欠乏は皮膚の乾燥や炎症に関連しています

 皮膚の乾燥は、皮膚バリアが傷ついている状態なので、アレルゲン(アレルギーの元の物質)や病原体などが皮膚から体内に入りやすくなっています。また、乾燥を放置するとアレルギーや不調を起こしやすくなります。子どもの時からしっかり対策を講じていきましょう。

 乾燥肌の人に着目してほしいのは、DHA、EPA。青魚に含まれるオメガ3系脂肪酸です。オメガ3系脂肪酸は心身によい作用をもたらします。もちろん皮膚への効果も大きく、不足・欠乏すると皮膚の乾燥や炎症の原因になります[*117]。さばやさんま、いわしなどの青魚を積極的にメニューに加えて、DHA、EPAをしっかり摂り、カラダの中からも皮膚の乾燥を改善していきましょう。

アトピー性皮膚炎と乾燥肌

 アトピー性皮膚炎はかゆみと炎症が特徴で、その原因のひとつには皮膚の乾燥があります。赤ちゃんのときから皮膚が乾燥していると、皮膚バリアが壊れやすくなっています。そして弱った皮膚を通してアレルゲンや病原体が入り込みやすい状態になり、そこからアトピー性皮膚炎やアレルギーが進んでいくことがあります。

 皮膚が乾燥していたら、医師に適切な薬を処方してもらって、毎日しっかり塗ってあげてください。

【保湿剤を塗るときのポイント】
●カラダを清潔な状態にする
●お風呂上がりの場合は、3分以内に塗る
●ティッシュペーパーが張りつくくらい、量はたっぷり
●ゴシゴシとすりこまず、手のひらでやさしくなじませる

皮膚の乾燥には、保湿と保護の2段階が有効です

 皮膚が乾燥しているときは、「皮膚の保湿」のための保湿剤と、「皮膚の保護」のための保護剤の2つを重ねて塗ることがよいと研究でも示されています。保湿剤で乾いたところを保湿し、乾かないようにフタ・膜を張るように保護の外用薬を塗りましょう。

 保湿剤としてはヘパリン類似物質系を処方することが多く、保護剤は白色ワセリン系がほとんどです。

 市販の保湿剤ではセラミド系もよいようですが、やや値段が張ります。ちなみに、セラミド系は医療機関からの処方はできません。

 乾燥肌とビタミンDの不足・欠乏は関係性がはっきりしています。ビタミンDのサプリメントの摂取も健やかなお肌のためにお忘れなく

乾燥肌におすすめのレシピ

 皮膚トラブルにおすすめのレシピをご紹介しましょう。

◆しらすとかつお節のアーモンド和え◆

材料(2人前)
● しらす干し …… 100g
● かつお節 …… 5~10g
● すりアーモンド …… 30g
● アマニ油 …… 小さじ2
● レモン汁 …… 小さじ1

作り方
ボウルにすべての材料を入れて、混ぜればでき上がり。

ポイント
しらす干し、かつお節には亜鉛、オメガ3系脂肪酸が豊富に含まれ、アーモンドにはビオチンが豊富に含まれています。レモンは抗酸化力が高いので一緒に摂ることで吸収率がアップします。ビオチンはビタミンB群のなかの1つで、とくに皮膚の健康に作用する栄養素です。

 おかずとしてだけでなく、おやつにしてもいいですね。ぜひお試しを!

(本原稿は伊藤明子著『医師が教える 子どもの食事 50の基本から一部抜粋・編集したものです)

*117 Huang TH, et al. Cosmetic and Therapeutic Applications of Fish Oil's Fatty Acids on the Skin. Mar Drugs. 2018 Jul 30; 16(8):256.