「相続対策」が必要とわかっていても、何をどうやればいいのか?どこから手をつければいいのか?わからない人は多いことと思います。『子どもに絶対、迷惑をかけたくない人のための たった5日で相続対策』(ダイヤモンド社刊)を出版した税理士の板倉京さんが、その手順や気を付けるべきポイントを本書より抜粋・編集して解説します。
相続時に忘れがちな「借地権」
相続の時に、うっかり忘れてしまいそうになるのが「借地権」です。
「借地権」とは、建物を所有するために他人の土地を借りる権利のこと。「借地権」には、固定資産税はかかりませんし、基本的には登記簿にも載りません。地代を払って、土地を借りているだけですが、「借地権」は相続の対象にもなる立派な財産です。むしろ地主よりも強い権利を持っていることも多いのです。
借地権の相続税評価額は底地より高くなることも!
借地権の相続税評価額は、土地の評価額に「借地権割合」をかけて計算します。「借地権割合」とは、土地に対する借地の権利割合です。場所によって30~90%の間で設定されていて、国税庁が発表する路線価に掲載されています。
一般的に、地価が高いところほど借地権割合は高い傾向にあります。高級住宅地は60~70%、通常の住宅地は40~60%程度の割合となります。
仮に、1億円の相続税評価額の土地の借地権が70%だった場合、その土地を借りて家を建てている人の借地権の相続税評価額は7000万円。一方地主の持っている底地の相続税評価額は3000万円です。ちょっとびっくりですよね。
借地権を事前に認識していないと、思わぬ高い相続税がかかってしまうことがあるので、要注意です(借地権も小規模宅地等の特例を使うことができます)。
借地権の相続の時には、地主との契約書の作り直しをする場合もあります。また、相続をきっかけに立ち退きを迫られた、という人もいます。
借地に関する契約書がなかったり、地主との関係が悪かったり疎遠だったりすると、相続する子どもたちが苦労することも……。「借地権」を持っている場合は、事前に契約書の確認や整備、地主との話し合いなど、相続のときに揉めない対策をしておくといいでしょう。
*本記事は、板倉京著『子どもに絶対、迷惑をかけたくない人のための たった5日で相続対策』(ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集して作成しています。