失業中の米ホワイトカラー労働者、再就職に苦戦Photo:Joe Raedle/gettyimages

 米国経済はこの1年間で雇用を200万人以上増やした。だが、失業者の多くが再就職に苦戦している。

 仕事がなく職探しをしている失業状態の米国人は昨年11月時点で700万人を超えた。米労働省によると、6カ月以上求職活動を続けている人数はそのうち160万人超で、2022年末と比べ50%以上多い。

 労働省によると、求職者が仕事を見つけるまでにかかる期間は足元で平均約6カ月と、新型コロナウイルス流行の収束に伴い2023年初めに訪れた採用ブーム時と比べ1カ月ほど長い。苦戦が特に目立つのは給与が高いホワイトカラー職で、テクノロジー、法律、メディアといった分野が含まれる。これらの業界では企業はコロナ後の経済活動再開で事業を急拡大したものの、現在は新規雇用の必要性が低下している。

 米労働市場は数字の上では健全に映るとはいえ、見た目よりも実態は弱い。足元の失業率は4.2%と、コロナ前の10年間の平均を大きく下回っているものの、失業者1人に対する求人件数は1件程度であり、2022年初めの2件から減少している。採用が活発なのは一部の業種だけだ。10日に発表される12月の米雇用統計では、労働市場の健全性について新たな状況が示されることになる。

「人生が完全に止まっている」。新たな就職先で3カ月間働いた後、昨年5月に解雇されたオリビア・パラクさん(32)はそう語る。シカゴ在住のパラクさんは、約10年間テクノロジー企業や経営コンサルティング会社で採用業務に携わってきた。パートタイムの請負業務を見つけたものの、過去8カ月間の大半はフルタイムの仕事探しを続けている。労働省の統計によると、勤務時間を減らされたため、あるいはフルタイムの職が見つからないためといった理由でパートタイムで働かざるを得ないパラクさんのような米国の労働者は400万人を超える。