期間途中で金利引き上げ合戦勃発?

 12月に入り、SBI新生銀行が「円定期預金 冬の金利アップキャンペーン」を発表した。その1年物の金利はなんと0.8%(預け入れは一口30万円から。2025年3月10日まで)。2009年以来、約15年ぶりの高金利だという。それより前に特別金利を発表していたauじぶん銀行が0.65%、ソニー銀行、ローソン銀行が年0.6%だったため、SBI新生銀行は「業界最高水準!」と宣言している。

 ここでいったん、さっきの数字を思い出そう。夏の定期金利は0.3~0.4%だったと書いた。それが半年後には0.6~0.8%と、二倍に跳ね上がったことになる。期間限定のキャンペーン金利とはいえ、こんな上昇スピードはこれまであっただろうか? 驚くのはそれだけではない。さらに意外なことが起きている。キャンペーン期間内の金利の見直しだ。

 まず、auじぶん銀行が24年12月4日に出していた金利から、12月23日に0.2%引き上げた。

・24 年12月4日~2024年12月22日……年0.65%
・24 年12月23日~2025年2月28日……年0.85%

 これに現金特典(円預金を増やすと年0.15%の利息相当額がもらえる)を加えて最大で年1%になるとし、「ネット銀行最高金利水準!」と胸を張った。

 更に、年が明けた1月7日に、今度はソニー銀行が金利引き上げのリリースを出した。

・12月2日~1月6日……年0.6%
・1月7日~3月31日……年0.8%

 いずれも、最初の金利を発表してひと月あまりのうちに0.2%を上乗せしてきたことになる。かつて、こんなことがあったどうか記憶がない。というか禁じ手ではないだろうか。

 というのも、最初に発表された金利目当てに預け入れした預金者は、引き上げの恩恵にあずかれないのだ。すでに0.6%で預け入れを終えていた人が、アップ後の0.8%の金利が欲しいとなると、すでに預けた定期預金をいったん解約して新規で預けなおすか、別の定期預金を新たに作るほかない。

 預金者からクレームが出てもおかしくない途中引き上げに踏み切ったのだから、各行は本気で預金者を取りに行っていると見える。

 ちなみにトップの座を奪われたSBI新生銀行に、もうひと頑張りの上乗せはあるのだろうか? そちらも興味深く見守りたいところだ。