ラクだと思ってたのに…
自筆証書遺言が手軽じゃない意外な理由
無知 知りませんでした。でも、役所の手続きってとにかくめんどくさいイメージがあるんですよね。なんとなく、気軽に作ることができそうなのは、自分で書く自筆証書遺言のように感じますけど。
前田 それは一概には言えません。たしかに自筆証書遺言は、以前と違って財産目録をパソコンで作れるようになったので、ある程度は簡単になりました。
でも、本文の部分は手書きの必要があって、それなりに大変ですよ。もし書き間違えてしまったら、「〇行目 〇字削除 〇字加入」といった説明書きと捺印が必要になるので。
無知 結局めんどくさそうですね……

遺言書に30万円!?
公正証書遺言の費用が高い理由と家族へのメリット
前田 ただ、自筆証書遺言は、コストがかからない点はメリットです。公正証書遺言の場合、財産の規模により変わりますが、およそ10万円から20万円ほどの手数料がかかります。
そのほか、弁護士などに公正証書遺言を作成するサポートをしてもらう費用もあります。たとえば、財産が1億6000万円で、子ども2人に8000万円ずつ相続させる場合の手数料は9万7000円。さらにサポートしてくれる専門家に20万円ぐらい支払うので、およそ30万円程度の費用がかかるでしょう。
無知 それなりにお金が必要なのですね。うちの両親には財産が1億6000万円もなさそうですが、30万円は、けっこう痛いです。
自筆か公正証書か?
費用以上に重要な遺言書の選び方とは
前田 だから、「費用がもったいないから自筆証書遺言にしよう」とチャレンジされる方は多いのですが、結局書き方がわからないというケースが少なくありません。
国税 それは想像できます。今は遺言書の書き方を説明する本やウェブサイトも多いですが、自分が作ったものに問題がないかは、最後まで不安が残りますよね。前田先生は2つの方法のうち、どちらがいいと思いますか?
前田 最終的には、公正証書遺言をおすすめします。公正証書遺言なら、公証人に内容をチェックしてもらえますし、120歳になるまで原本が保管されるので、紛失や改ざんのリスクが限りなく低く、財産をのこす人の意思を実現させやすいからです。
遺言書はのこしたほうがいい? … はい、のこしておくとトラブルが減ります
※本稿は、『相続のめんどくさいが全部なくなる本』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。