国際的な注目は
特殊詐欺と和牛密輸へ

 経済特区で一流リゾート地を目指していたはずのシアヌークビル、なんと今では全く異なる顔が国際的に注目されている。近年は特殊詐欺の拠点として目立っているのだ。日本人、中国人、韓国人が、高収入などの文句に釣られて強制的に特殊詐欺に加担させられるケースが後を絶たない。

 直接訪れてみると確かに、これだけ寂れていて、しかもギャンブルが横行していれば、反社会的勢力にとってある意味、居心地の良い街だろうなと感じた。そしてこの街で外国人が閉じ込められたら、逃げ切ることは非常に難しいだろう。現金しか使えず、携帯電話は取り上げられているだろうから助けを呼ぶこともできない。まさに絶望的だ。

 さらに言うとシアヌークビルは、日本の和牛が中国に密輸される拠点としても知られている。和牛は中国との直接取引には規制があるため、カンボジアを迂回ルートとして中国本土に入っているとみられ、シアヌークビル港で詰め替え作業が行われている疑惑がある。

 こうした犯罪も横行するゴーストタウンに直接訪れてみて、まともな観光客が来るところではないと改めて思い、そそくさと街を去った。

日本の和牛がカンボジア産として詰め替えられ、中国に密輸されているシアヌークビル港日本の和牛がカンボジア産として詰め替えられ、中国に密輸されているシアヌークビル港 Photo by E.T.
街のシンボルのゴールデンライオン。周囲を廃墟に囲まれている街のシンボルのゴールデンライオン。「第二のマカオ」を目指していた感は残っているが… Photo by E.T.