自分は将来どうなるだろう……。そんな不安を持つ人は少なくないのではないだろうか。「いつまで第一線でいられるか」「いつまで他人と競えばいいのか」「いまいる友達は60歳になっても友達か」「気力体力はどうなるか」「お金は?」「いまのうちにやるべきことは?」など疑問がつきない。そこで本連載では、2025年に60歳を迎える奥田民生の10年ぶりの本『59-60 奥田民生の仕事/友達/遊びと金/健康/メンタル』の中から、民生流の「心の持ち方、生きるヒント」を紹介する。「力まず自然体でカッコいい大人」代表の奥田民生は、これまでどのように考え、どのように働き、どのように周りとの関係を築いてきたのか。その言葉を見ていこう。(構成/ダイヤモンド社・石塚理恵子)

「職場の嫌いな人、苦手な人」に疲弊しない人間関係のコツ・ベスト1
Photo by Takahiro Otsuji

「ケンカしたあと仲良くなる」は本当か?

 若いときはいろんなことでケンカをする。

 俺もどうでもいいケンカから結構マジなやつまでいろいろあった気がするけど、いまとなっては詳しい理由を思い出せない。

 多分、どうでもいいことだろう。

 でもよく会う友達とはケンカ別れしたままってわけにもいかないから、多分、仲直りはしたと思う。

 だってなんだかイヤでしょう? 気持ちも悪いし。

 そういうときは俺から謝ることもあれば、相手が気を遣って謝ってくれたこともあったと思う。

ケンカをしたら仲良くなるのか?

 ドラマやアニメでは、河原で殴り合ってケンカをしたら前よりもっと仲良くなった、みたいな話があるけど、俺の場合、殴り合いのケンカはしないし、そこまでのケンカにまずならない。

ケンカなんてもともと仲がいいからするものだから、前より仲良くなるはずもない。

 よく、男同士のケンカは仲直りが早くて、女同士は引きずるなんて話を聞くけど、俺が思うにケンカを引きずるような相手とは、そもそも仲良くなかったんじゃないかと思う。

「仲がいいから」「友達じゃなくなるのがイヤだから」、だから人は早く仲直りをしようとする。

 俺は絶交も絶対しない。

 せっかく友達になったのにそんなの意味がないからだ。

ケンカをするより仲間になる

 ケンカは20代前半くらいまではしていたけど、この歳になるとケンカらしいケンカはまずしない。

 もちろん仕事仲間と多少の揉めごとはあったりするけど、それは仕事上のことだからしょうがない。

 ただ俺にとって仕事は遊び、遊びは仕事でもあるわけだから、「遊んでるのに揉めてどうする」という思いがある。

 だから楽しく仕事をする(遊ぶ)ためには、多少のことには目をつぶるようにして、自分を制しているところはあるかもしれない。

人間関係をうまくやるコツ

 この歳になるととにかく揉めたくないと思ってしまう。

 それに最近は「苦手だな」と思うより「仲間になろう、仲良くなろう」と思うようにもなってきている。

 でもそれとは矛盾するようだけど、無理やり仲良くならなくてもいいかなとも思っている。

 他人にすごく嫌われたくはないけれど、多少だったらいいかと思えるようになってきた。

いい塩梅でバランスをとる

 ただ、自分が歩み寄ることでその場の雰囲気がよくなるなら、断然自分から歩み寄る。

 自分が引くことでうまくいくなら、そうすることは俺はぜんぜん苦ではない。

 大人になるとこのあたりは自分の許せる範囲で、無意識にバランスをとるようになるものだ。

(本稿は奥田民生『59-60 奥田民生の仕事/友達/遊びと金/健康/メンタル』からの抜粋記事です。)