トランプ大統領就任、侮れない「大恐慌時代以来の高関税」の衝撃…“米国の黄金時代”路線へ大転換Photo:dpa/JIJI

ドナルド・トランプ氏が1月20日、米国の新大統領に就任した。「米国第一」を掲げるトランプ新政権の決断は、米国経済はもちろんのこと、日本経済や日本企業にも大きな影響を与える。激変する世界の行方を徹底検証する。(ダイヤモンド編集部 大矢博之、西井泰之)

「米国の黄金時代」路線転換鮮明に
侮れない「トランプ関税」

「米国の黄金時代が今から始まる」。1月20日、米国の第47代大統領に就任したドナルド・トランプ氏は、就任演説でそう述べ、「米国第一」主義を改めて印象づけた。

 就任演説で強調されたのは、従来路線からの大幅な転換だ。不法移民の入国規制、石油・天然ガスの増産と輸出、電気自動車の義務化撤廃──。打ち出された方針は、今後は米国の都合で物事を動かしていくという、トランプ氏のスタンスを象徴する内容だった。早速、パリ協定や世界保健機関(WHO)から離脱するなどの大統領令に署名し、行動を開始した。

 また、米ワシントンの連邦議会議事堂で行われた就任式で目立ったのは米テック業界への厚遇ぶりだ。新政権で要職に就くテスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)のほか、グーグルやアップル、メタ・プラットフォームズ、アマゾン・ドット・コムなど米テック大手のCEOや創業者などが前列に集った。トランプ第1期政権では距離を置いていたテック業界との関係変化を物語る。

 一方で、注目を集めていた関税政策については、「直ちに貿易制度の見直しに着手する」とし、「国民を豊かにするために外国に関税を課す」と明言した。

 自らを「タリフ(関税)マン」と呼称するトランプ氏は、第1期政権でも貿易相手国に圧力をかけ、交渉を有利に進めるための「ディールの道具」として関税を積極的に利用してきた。

 そのため今回の関税政策もディールの道具と受け止め、実際の経済への影響はそれほど大きくないとみる向きも多い。しかし、その見方には二つの“見落とし”がある。