
【ダボス(スイス)】ここ欧州の状況は厳しい。だがこれが峠だろうか?
世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)に集まった欧州のエリートたちは、全て順調だと何年間も主張してきた後で、何もかもがひどいという点で一致した。ドナルド・トランプ米大統領による関税の脅し、規制緩和を巡る米国の熱気、さらに長年の成長停滞が重なり、欧州の指導者は、域内企業を規制で縛り付けるのはまずいのかもしれない、と考えざるを得なくなった。あくまでも「かもしれない」だが。
欧州の問題は、自らに対して行動を起こせるかどうかだ。よく知られているように、欧州では危機に見舞われた時にしか大きな変化が起きないため、有力者らは危機感をたきつけようとしている。欧州中央銀行(ECB)のクリスティーヌ・ラガルド総裁は、スイスのスキーリゾートで開催された世界経済フォーラムで、現状を「存立に関わる」とさえ表現した。
これは欧州の将来にとって重要であるだけでなく、投資家全般にとってもひとごとではない。多くの投資家は、米国市場が他の地域と比べて好調であることに不安を覚えている。このかい離は続かないと考え、他国への分散投資を検討する向きもある。
欧州が軌道修正に成功すれば、成長が拡大し、欧州株の追い風になるはずだ。欧州株は年初来でプラス圏にあるものの、この10年間の上昇率はわずか50%ほどで、3倍に達した米国株とは対照的だ。
問題は、成長のためにこれまでのライフスタイルを犠牲にするトレードオフをのまざるを得ないところまできていることを、欧州の人々に納得させられるかだ。