2期目のトランプ政権が始動した。就任初日から大統領令を連発し、移民政策、関税政策などトランプ氏の目玉政策に向けた布石が打たれている。それらが米国の景気やインフレ動向にどのような影響を及ぼすのか検証した。(ニッセイ基礎研究所経済研究部主任研究員 窪谷 浩)
就任初日に戦後最多となる
42件の大統領令に署名
第47代米大統領として2期目のトランプ政権が1月20日に発足した。トランプ大統領は就任初日の20日に42件の大統領令に署名した。
本稿ではトランプ大統領が署名した大統領令のうち、同大統領が実現を目指す主要な経済政策に関連する部分の概要に触れた後、大統領令から想定される米国経済の影響について論じる。
大統領令は大統領が連邦政府機関に対して直接行う行政命令で、議会によって可決された法案と同じ法的効力を持つとされ、行政命令、覚書、布告がある。20日に署名した大統領令の内訳は行政命令が26件、覚書が12件、布告が4件である。
就任初日に署名した行政命令の件数はバイデン氏の9件を大幅に上回り、1937年以降の歴代大統領で最多となった。トランプ大統領が就任初日から大統領令を積極的に活用することは、自身のレガシーのために2期目の政権運営に向けた周到な準備と、スピード感を持って政策公約を実現するとの並々ならぬ決意の表れといえよう。
次ページでは、大統領令の内容を検証し、具体的な米国経済への影響を予測する。