マスク氏の新たな「よそ見」、テスラ株はしのげるかPhoto:Andrew Harnik/gettyimages

 米電気自動車(EV)メーカー、テスラの株主は、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がこれ以上よそ見をすることは望んでいなかった。それが米オープンAIともなれば、高くつくかもしれない。

 いくつもの仕事を掛け持ちしているマスク氏は、オープンAIの事業の支配権を持つ非営利組織に対し、企業連合を率いて974億ドル(約15兆円)で買収を持ちかけた。連合にはマスク氏の人工知能(AI)スタートアップ企業xAIのほか、ベンチャーキャピタルも参加するとウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が10日報じた。

 オープンAIの買収価格は、マスク氏が2022年に米ツイッターに支払った額の2倍以上だ。マスク氏とオープンAIのサム・アルトマンCEOとの不和を踏まえると、実現の見込みは薄い。アルトマン氏は10日、マスク氏の提案に対し、97億ドルでX(旧ツイッター)を買収すると応じた。マスク氏が所有してからXの時価総額が大きく目減りしたことへのあてこすりだ。

 テスラ株は11日に6.3%下げた。同社にとって2024年は厳しい1年だった。ファクトセットのデータによると、自動車売上高が年間ベースで初めて減少に転じた。対照的に22年には、同社の売上高は2桁後半の伸び率を示していた。オッペンハイマーのコリン・ラッシュ氏は11日のリポートで、オープンAIを巡る動きを「テスラの課題から目をそらす、よそ見」と呼んだ。