
ダウ工業株30種平均は常に問題を抱えながらも、その仕組みと運のおかげでおおむね市場全体の動きと一致していたため、米国株の象徴的な指標としての地位を維持してきた。だが、今は違う。
ダウ平均は過去2年間、米国の主要企業で構成されるS&P500種指数に追随するどころか、大きく見劣りする展開となっている。2023年と24年のリターンはS&P500種指数を10ポイント余り下回った。これほど低調なパフォーマンスとなったのは、S&P500種指数が導入された1957年以降では他に2年(1980年と1998年で、いずれも経済混乱期)しかない。
ダウ平均は現在、巨大ハイテク企業という問題を抱えている。だが、その理由はもっと根本的なところにある。すなわちダウ平均は、人間が株式を選別し、計算尺が使われていた時代向けに設計されたもので、自動化されたインデックス運用の時代には古くささが際立つ「ひどい指数」だということだ。
プロの投資家はダウ平均を無視していることが多いが、同じような問題がある日経平均株価の動向には注意を払っている。しかし、ダウ平均はメディアや一般投資家から過度な注目を集め、米株式市場の実態をゆがめて伝えている。