以前は「FIRE」や「億万長者」の本が売れていたが、昨今は幸福感を味わえるお金の本が売れているようだ。
「人生で一番大切なのは思い出をつくることだ」と説いた『DIE WITH ZERO』が空前のベストセラーになり、「DIE WITH ZEROの次に読むべき本」と話題になっているのが『JUST KEEP BUYING』。そして、PIVOTの動画「幸せな金持ちになる方法(2/11配信)」で注目されているのが『THE ALGEBRA OF WEALTH 一生「お金」を吸い寄せる 富の方程式』である。『富の方程式』はゴールドマン・サックスCEOと世界的ベストセラー作家のモーガン・ハウセルが強力ダブル推薦する全米ベストセラーで著者は『GAFA』で有名なスター教授だ。今はそうでなくてもこれから“幸せな金持ち”になるにはどうすればいいのか。本書からワンポイントを抜粋・編集してお届けする(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)。

今から6年前に買ったもの
私は今でも飛行機が大好きだ。
深夜にスポーツチャンネルのESPNを見たり、ネットでファッション情報を見たりする人もいるが、私は何時間も飽きもせず飛行機のことを調べ、記事を読んでいる。
約6年前、私はあのバルコニーバーで始まった夢を実現した。
自分用のジェット機(ボンバルディア・チャレンジャー300)を購入したのだ。
飛行機を買い、フルタイムのパイロットを雇い、格納庫のスペースからカーボンオフセットに至るすべての管理を管理会社に任せるのは、多くのお金と時間がかかる。
どうやって自分を正当化したか?
完全に合理的なことだと正当化はできない。
けれども、私は次のように正当化した。
当時、私はマイアミで家族とくらしていたが、週に一度はニューヨーク大学で教えなければならなかった。
それに毎週のように、アメリカのどこかで講演や会議をしていた。
出張続きのスケジュールからすると、自分専用ジェットがあれば、家ですごせる日が年間13日増えることになる(自家用機には大きな利点が2つある。スケジュールどおりに飛ぶことと、車を降りてから徒歩2分で機内に乗り込めることだ――チケットもセキュリティチェックも必要ない)。
10年保有すれば、家族とすごす時間が130日増え、2人の息子と4か月多くすごせたことになる。
考えるとゾッとしてしまうが、日々成長している息子たちは、いつかは家を出て行ってしまう。
飛行機の所有コストは、年間約120万ドル(税込)。
これほど簡単なファイナンスの決断はない
ここで私は自問した。
人生の終わりに私が望むのは、10年後、銀行口座に1200万ドル多く残っていることなのか?
それとも息子たちとの4か月分の思い出なのか?
大金ではあったが、これほど簡単なファイナンスの決断もなかった。
(本稿は『THE ALGEBRA OF WEALTH 一生「お金」を吸い寄せる 富の方程式』の一部を抜粋・編集したものです)