2022年10月のある朝、麻薬密売人とみられる男が白いピックアップトラックでカリフォルニア州サンガブリエルのスーパー「グローバル・フレッシュ・マーケット」の駐車場に入り、青いマセラティの横に車を止めた。車内にいた女と短い会話を交わした後、男は大きな黒いバッグを後部座席に置いた。その様子を監視していた米政府のタスクフォースのメンバーによると、バッグには約30万ドル(約4500万円)の現金が入っていた。この受け渡しは、米国の麻薬との闘いにおける「新たな戦線」で行われていたと当局者は言う。捜査当局や裁判文書によると、米国で社会問題化している合成麻薬フェンタニルに絡む不正な資金の中継地として、中国の重要性が高まっている。