「自分も、もっと数字に強ければ…」
日々の買い物や職場で「数字コンプレックス」を感じたことはないだろうか。「算数や数学は大キライ…」「できるだけ見たくない…」中には「数字はもう諦めた」という人もいるだろう。
しかし実は、「数字に強い」は生まれつきの才能ではない。数字に強い人は、無意識のうちに九九などの「頭を使わないラクな計算」を使って、面倒な計算をうまくサボっているのだ。
新刊『「数字がこわい」がなくなる本』は、数字に強い人の脳内を解明した一冊。数字に強い人が無意識にやっている「頭を使わないサボり計算テク」を知れる本書の中から、今回は「数字のとらえ方」について紹介したい。

「数字に強い人」のラクな“割り勘計算”
──「電卓アプリで割ればすぐにわかるじゃん」と思うかもしれません。でも、スマホにばかり頼っていると、いつまでも数字に弱いままです。それに、スマホを使ってあまりに細かい金額を出してしまうと場を白けさせてしまいます。
それよりは、大胆に数字を丸めてしまったほうが、結果的にスムーズに進むこともあります。今回は、「数字に強い人」がやっている“割り勘計算”の極意を紹介しましょう。
数字を「まるめて」「分けて計算」する
ではどうやって計算するか。
まずは15613円を「16000円くらい」に思い切って四捨五入してしまいましょう。これが本書でも紹介している「まるめる」です。急に数字が扱いやすくなりましたね。
でもこのあと、この数字を12で割らなければいけません。こんなときはどうするか。一気に12で割るのをやめて、順番に割り算するのです。
今回は12で割るので、「4で割ってから3で割る」と考えてみましょう。
すると、「16000円 ÷ 4 = 4000円」。そこからさらに3で割れば「4000円 ÷ 3 ≒ 1333円」くらいですね。もともとの金額は16000円弱ですから、実際には一人あたり1300円を集めればよいでしょう。もし多少の誤差が出ても、年長者や先輩が「じゃあオレが多めに払うよ」と調整してくれれば、めでたしめでたしです。(今回は、正確に計算してみると1301円となり非常に正確な値となりました。)
こうして大胆に「まるめる」ことに抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、「割り勘」はあくまでざっくりの計算でOK。それに、数十円の差に目くじらを立てるより、現場が円滑にまとまるメリットのほうが大きいこともありますよね。
数字に強い人ほど、「細かい数字」を気にしない
では、なぜこういう“ざっくり思考”が大事なのでしょうか。数字に強い人は、常に完璧な計算をしなくてもよい場面と、正確さが求められる場面の違いを知っています。例えば予算書や経理など、厳密に合わなければならないところでは当然1円単位の差異も許されません。一方、飲み会やランチの会計なら数十円の誤差は大勢に影響なし。むしろ、チームや場の雰囲気を保つことが優先されることのほうが多いわけです。数字が苦手な人ほど、どんな場面でも「細かく計算しなきゃ…」と構えてしまいがちで、逆に場をしらけさせてしまうこともあります。
結局、数字に強い人と弱い人を分けるポイントは、「どこまで正確さが求められるか」を的確に見極める力。大雑把に計算していいときはサッと丸めて、アプリに頼るまでもなく計算を進める。もし足りなくなったら誰かがフォローし、余ったら次の機会に繰り越すなど臨機応変に対応できるのが理想です。
「自分でもさっと計算する能力」は、実はこのように九九くらいの計算ができればすぐにできるようになるのです。少し鍛えておくと、ふだんの生活でも仕事でも、なにかと便利に感じる瞬間が増えていきますよ。
(本記事は『「数字がこわい」がなくなる本』に関する書き下ろし原稿です)