「そんな甘っちょろい考えで、儲けられるとでも?」今、株式投資界隈で話題の一冊──YouTubeで人気を博す栫井駿介氏の最新刊『買った株が急落してます!売った方がいいですか?』がついに発売された。発売前から注目を集め、個人投資家の間で話題になっている。
この物語に登場するのが、個人投資家たちがひそかに通うひばり投資診療所の冷酷な女医・忌部あかり。彼女の診療は、単なるアドバイスではなく、投資家として生まれ変わるための“荒療治”だ。作中でエリート商社マン・波野衿人を叩き直した忌部あかりが、今度はあなたの投資相談に乗る。
「買った株が下がって焦っている」「利益が出たのに、どこで売ればいいか分からない」「決算が良いのに、なぜか株価が暴落……」そんなあなたの迷いに、忌部あかりが“診断”を下す。優しくなんてしない。でも、あなたを勝てる投資家へと育てる。さあ、診察室へどうぞ──覚悟はできている?(構成/栫井駿介、ダイヤモンド社書籍編集局)

NTT株(9432)を持ち続けてよいでしょうか?
【相談内容】
こんにちは。昨年スタートした新NISAを機に、本格的に株式投資を始めました。昨年3月に「NTT株(9432:日本電信電話)」を180円で買いました。
でも、買ってからじわじわ下がって、今では150円を切っています。なかなか上がる気配もなくて、このまま持ち続けていいのでしょうか……?

覚悟のない奴に投資は向いてない
──YouTubeやSNSを見ていると、「NTTはビジネス基盤がしっかりしてる」「高配当だから下値も固い」「IOWN構想で将来大化けするかも」なんて話もあって期待しているのですが、このまま持ち続けてもいいのでしょうか?
忌部あかり(以下、忌部):……ねえ、そもそも「IOWN構想」でNTTがいくら儲かると思ってるの?
まさかとは思うけど、「なんかスゴそう!」くらいのノリで買ったんじゃないでしょうね?
──いや、そんなつもりじゃ…。
忌部:NTTの資料、ちゃんと読んだの?
──ギクッ!
忌部:読んでないなら、今すぐ自分の目で確かめてきなさい!
商用化されるのが2026年ってなってるわ。でも、それ以外の数字については何も書いてない。これがどう収益に貢献するかってわかると思う?
──それは…。
忌部:毎日新しいニュースが流れてくる世界で、急にここだけうまくいくなんて考えが、ぬるま湯で育ってきたヤツの考えそうなことよね。
もちろん未来は否定しないわ。でも、それが数字に表せないなら、投資家としては評価のしようがないのよ。
数字といえば、NTTの時価総額、知ってる?
──えっ…(大企業だってことはわかるけど、時価総額をパッと聞かれても…)
忌部:10兆円を超える大企業よ。ベンチャー企業みたいに「期待感だけで株価急騰!」なんて起こるわけないじゃない!
「高配当だから下値が固い」とか言ってるけど、相場の状況次第で10%や20%の株価変動なんて普通にあるの。
たかが数%下がったくらいでうろたえるなら、最初から買うべきじゃなかったわね。
──でも、最初は大丈夫って思ってたんです。SNSでも「長期なら問題ない」って言われてたし…。
忌部:そのSNSの誰かが、あんたの損失を補填してくれるわけ?
──それは…ないですけど…。
忌部:じゃあ、なんで他人の意見で買って、自分の不安でうろたえてるの?
あんた業績を自分で確認してる?見てないでしょ?
業績は確かに伸びてるけど、年間の成長率は数%程度。そんな株が、いきなり何十%も急騰すると思ってんの?
自分の目で確認することもせずに「なんとなく」で買ったなら、今すぐ売りなさい。
本気で長期投資するつもりなら、目先の株価の上下なんか気にしても仕方ないわ。投資ってのは「腹を括った者だけ」が勝つのよ。
※本記事は、『買った株が急落してます!売った方がいいですか?』(栫井駿介・著)の登場人物・忌部あかりをもとにしたフィクションです。