
ドナルド・トランプ米大統領に反対する人たちは、彼がもたらしている大混乱に批判の声を上げ、共和党の一部も不安を募らせている。そんな中、同大統領は自身を批判する人たちに恐れをなすどころか、勇気づけられており、混乱に拍車をかけることを決意しているように見える。
ある特定の観点から見れば、世界が崩壊しつつあるように感じられるかもしれない。米連邦政府の官僚機構は解体されつつあり、大西洋をまたぐ同盟関係は緊張状態にある。また、関税の脅威が一進一退する中で株式市場は揺れ動いている。1週間足らずのうちに政府機関の閉鎖が起きる可能性もある。しかし、非常に多くの機関に激震をもたらしているにもかかわらず、トランプ氏の人気がこれまでのところわずかしか傷ついていないのは、同氏の支配的立場の証しと言える。そして、共和党も民主党も同様に結果がどうなるか身構えているため、異常で緊迫した政治的ダイナミズムが生み出されている。
「人々は行動を好む。彼(トランプ氏)が行動していること、そしてその勢い、スピードを高く評価している」。ホワイトハウスに近い共和党ロビイストのデービッド・アーバン氏はこう語る。アーバン氏は、ペンシルベニア州西部にある故郷の友人や、米陸軍士官学校時代の級友たちは皆、彼らが目の当たりにしているものを気に入っていると語った。それは、政治的な勇気を持ち、長年にわたる問題についに対処している大統領の姿だ。「短期的な混乱はあるが、米国民は混乱を見たがっていた。だからトランプ氏を大統領にしたのだ。彼らは余りにも非効率で無力な政府にうんざりしている」