タカ派主導のトランプ関税、共和党議員から懸念の声Photo:Bloomberg/gettyimages

【ワシントン】米政権の通商政策担当チームの大半がまだ正式に決まっていない中、ドナルド・トランプ大統領が就任から1カ月で貿易関連の措置を矢継ぎ早に打ち出している。

 トランプ氏は通商代表部(USTR)代表候補にジェミソン・グリア氏を指名したが、同氏はまだ上院本会議での承認投票の日程が固まっていない。また商務長官に指名されたハワード・ラトニック氏を巡っては、トランプ氏はこれまで、政府の通商政策を主導することになると述べてきたが、人事案承認は週内とみられており、これまでの主要な通商政策の策定には関与していないことになる。

 両氏が不在の中、強気な性格と関税に対する強硬な姿勢で知られるピーター・ナバロ大統領上級顧問(通商・製造業担当)が通商政策を主導する役割を果たす人物として台頭している。

 関係者らによれば、ナバロ氏はトランプ氏が就任初日に打ち出した通商関連の覚書や、全ての貿易相手国に対する鉄鋼・アルミニウム関税適用の決定、さらに米国の関税を他国の関税と同水準にすることを目指す相互関税について主導的な役割を果たした。

 スコット・ベッセント財務長官とケビン・ハセット国家経済会議(NEC)委員長は数週間前に就任しナバロ氏と共に職務にあたっているが、両氏がトランプ氏の関税政策への支持を表明したのはもっと最近になってからだ。関係者らによれば、ベッセント氏は概して慎重な関税アプローチを取るよう助言してきたが、トランプ氏はこれまでのところその助言を退けているようだ。