米大統領選挙、予想超える「トランプ完勝」
既成政治への不満と不信の受け皿に
米大統領選挙は、激戦州7州も全敗する見通しになったカマラ・ハリス副大統領が敗北を宣言、トランプ前大統領の勝利が事実上決まったが、トランプ氏自身が繰り返し言うように「米国政治史上最大のカムバック」となった。
筆者は最終的にはハリス氏が代表する「常識」がトランプ氏の「過激主義」に勝ると論じてきたが、そうはならなかった。4年前の選挙で敗北し、2年前の中間選挙でも民主党を追い込むことはできず、そして2件の弾劾裁判と4件の刑事訴追を受けているにもかかわらず、人種差別的な発言を繰り返したトランプ前大統領と共和党の勝利は異例といってもいい。
下院選挙の結果が判明するまでにはいまだ時間がかかるようだが、上院はすでに共和党が多数を制し、結果的にはトリプルレッド(大統領、上下両院を制する)を実現しそうな勢いだ。トランプ前大統領の完勝といえるのではないか。
その最大の要因は、経済と移民問題だったのだろう。
だが忘れてはならないのは、異端の政治家を“救世主”のように扱うことになった、既成政治や制度、メディアなどに対する国民の不信の強さや広がりだ。
こうした支持を背景に、トランプ2期目政権は1期目以上に「米国第一」の自国利益追求に走るだろう。