「売るべきか、持ち続けるべきか」――株を買った瞬間から、この問いが頭を離れない。含み益が出ていると、「もう少し上がるかもしれない」と欲が出る。だが、欲張りすぎてタイミングを逃せば、利益は一瞬で消え去る。逆に、含み損が膨らむと、「ここで売ったら負けだ」と意地を張る。ズルズルと持ち続け、気づけば取り返しがつかない状況に陥ることも。
利益を出せる投資家は迷わない。売り時の基準を持ち、迷いなく行動している。では、その基準とは何なのか? 話題の新刊『買った株が急落してます!売った方がいいですか?』では、YouTubeで株式投資のアドバイスを配信し人気を博す栫井駿介氏が「利益を出せる個人投資家の思考法」をわかりやすく解説する。本書には、株の売り時を正しく判断するためのヒントが詰まっている。この記事では、特別に本書の一部を公開する。

“買ったらダメな株”を見抜く、10のチェックポイント
(1)利益が長い間増えていない → 成長力がなくジリ貧
(2)業績が乱高下している → 先が読めず急落の可能性
(3)自己資本比率が極端に低い → 業績が悪いか借入が多い可能性
(4)株価が急上昇した → 急に上がった銘柄は急に下がりやすい
(5)PERが高すぎる(50倍以上) → 一時的なバブルの可能性
(6)会社の規模に対して大きすぎるM&A → 茨の道
(7)経営者が有頂天 → 周囲から持ち上げられ、誤った判断をしがち
(8)経営計画がわかりにくい → 経営者自身も進む方向性をわかっていない可能性
(9)すぐに真似されそうなビジネス → 「参入障壁」がなければ利益は残らない
(10)従業員の愛着がない → 従業員が会社や仕事に誇りを持てない企業の将来性は厳しい
失敗を回避できれば、投資の精度は大きく向上する
絶対の正解はありませんが、特に初心者のうちはここに該当する銘柄を買わないだけでも多くの失敗を避けることができます。
逆に言えば、ここに挙げたポイントが該当しない銘柄を選べば、それが「良い銘柄」である確率はグンと上がることになるのです。
では、オービック(4684)という会社を例に挙げて、10のポイントを見てみましょう。
オービックは、会計システムを中心とした統合基幹業務ソフトウェア(ERP)を提供する会社です。
派手ではありませんが、着実に業績を伸ばしています。
業績を見ると、きれいに右肩上がり。自己資本比率は86%(2025年1月末時点)もあり、これで1、2、3はクリアです。
(本記事は『買った株が急落してます!売った方がいいですか?』の一部を抜粋・編集したものです)