「株価は生き物」とよく言われる。だが、実際に動揺するのは株ではなく、投資家のほうだ。小さな含み益が出た途端に「今のうちに利確しておこう」と売ってしまう。しかし、その後さらに株価が上がり「もっと持っていれば…」と後悔。逆に、含み損を抱えると「まだ大丈夫」と根拠なく持ち続け、いつの間にか損失が膨れ上がる。株で稼ぐ人は、目先の値動きに振り回されることなく、常に合理的な判断を下している。では、彼らはどんな視点で相場を見ているのか?
話題の新刊『買った株が急落してます!売った方がいいですか?』では、YouTubeで株式投資のアドバイスを配信し人気を博す栫井駿介氏が「利益を出せる個人投資家の思考法」をわかりやすく解説する。株価の乱高下に振り回されず、冷静に判断できる投資家になるためのヒントが満載の話題作だ。この記事では、特別に本書の一部を公開する。

株式投資で「これだけ」はやってはいけない
含み損は放置したままでさらに膨らんでいき、利益はさっさと確定した結果、「損小利大」どころか「損大利小」の投資になってしまう。投資初心者にありがちな失敗です。
アメリカで伝説的なファンドマネジャーにピーター・リンチという人がいるのですが(物語の後半で出てきます)、この人の有名な言葉に「花を摘んで雑草に水をやる」という言葉があります。
これはもちろんダメな投資のたとえで、花(利益が出ている銘柄)を売り、雑草(損が出ている銘柄)を残す(あるいはもっと買う)という行為のことです。
お客様の相談を受けていると、やはり利益が出ている銘柄を売って、損が出ている銘柄を買い増したいという声を聞きます。
理由を聞くと、下がっている銘柄の方が上昇余地があるからだという答えが返ってきます。
しかし現実には、伸びる銘柄はとことん伸び、伸びない銘柄はいつまでも伸びないことが多いのです。
株で稼げる人のポートフォリオの共通点
もちろんケースバイケースではありますが、傾向としては伸びている銘柄を持ち続けた方が良い結果が得られることが多いでしょう。
上手い人のポートフォリオを見ると、含み損の銘柄はほぼなく、一部の銘柄には莫大な含み益が乗っています。
この状態こそ「損小利大」が徹底されている状況と言えるでしょう。
(本記事は『買った株が急落してます!売った方がいいですか?』の一部を抜粋・編集したものです)