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【精神科医が教える】他人を許せない気持ちとどう付き合うか?Photo: Adobe Stock

他人を許せないとき、どうすればいいのか

 他人を許せない、憎んでしまうことは、誰にでもあることです。先日、『ABEMA Prime』(通称「アベプラ」)出演した際、このテーマが話題になりました。やはり、多くの人が「許せない」「憎い」と感じることに悩んでいるようです。

 基本的に「許せない」と思うようなことをした人とは、そもそも関わるべきではないのです。世の中には変な人やひどい人がたくさんいます。そして、そうした人たちが最初から分かりやすく「やばい人」だったら、そもそも関わることはありませんよね。

 しかし、許せないと感じる場面というのは、相手が初めから危険な存在だとは分からなかった場合が多いです。関係がある程度築かれたあとに、とんでもない出来事が発覚し、「裏切られた」と感じるのです。

憎むよりも関係をフェードアウトする

 私自身、あまり口にはしませんが、過去にひどい経験をしたことはあります。しかし、そういう相手に対しては、「ひどい人だ」「もう関わりたくない」と思ったら、なるべく後腐れなく距離を置くようにしています。

 憎しみの感情を抱くことは、むしろ相手とより深く関わることになってしまいます。特に復讐しようなんて考え始めたら、それは非常に濃密な関係になってしまうのです。そんな相手と関わり続けるのは嫌ですよね。

 だからこそ、一番良い方法は「フェードアウト」です。関係を徐々に薄めていき、自然と距離を置くのが理想的です。もちろん、状況によってはいきなり関係を断ち切ったほうがいい場合もありますが、最もリスクが少なく、後々まで問題を引きずらないのはフェードアウトすることです。

貴重な時間を「憎しみ」に使う必要はない

 ほかに付き合うべき人はたくさんいるはずです。わざわざ自分に悪影響を与える人と関わり続け、憎しみに時間を費やすのはもったいないことです。それよりも、自分にとって有益な人や、心地よく過ごせる人と関わるほうがよほど有意義ではないでしょうか。

 いきなり関係を断つのが難しい場合は、「どうすれば最も穏やかに関係を薄めていけるか」を考え、淡々と実行するのが大切です。そのプロセスに集中していると、憎しみの感情は自然と薄れていきます。そして、「あまり関わらなくなること」こそが、ある意味では最高の復讐になるのです。

「許せない」経験をどう活かすか

 憎しみの感情を抱くほどの経験をしたのであれば、それを無駄にするのではなく、何らかの形で活かすこともできます。「今回は失敗した」「悔しい」と思うことがあっても、人間はそこから学び、成長できるものです。

 例えば、私の場合であれば、「こういうときは、こう考えたほうがいい」ということを発信したり、本に書いたりすることで、自分の経験を多くの人にとって価値あるものに変えることができます。たとえ作品にできなかったとしても、自分の記憶として「こういうときにどう対処したか」を整理し、自分自身の成長につなげることはできます。

 ネガティブな経験も、自分の人生の一部として取り入れれば、それは「自分の魅力」に変えることができるのです。例えるならば、クレープの生地の一枚として重ねていくようなもの。たとえ苦い味だったとしても、他の経験と組み合わせれば、意外と美味しくなるかもしれません。

※本稿は『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)の著者による特別原稿です。