「自民党が悪い」「マスゴミが悪い」「消費税が悪い」「財務省が悪い」などなど、皆さん思い思いの「諸悪の根源」を思い浮かべるだろう。しかし、個人的にこの現象の根本的な原因は、「成功モデルが確立された」ことが大きいと思っている。

 2022年7月8日、「この狂った社会を正すには“悪”を殺すのがベスト」という考えのもとで政治家の命を奪う政治テロを実行しその結果、本当に日本社会を変えた男がいる。

 ここまで言えばもうお分かりだろう。安倍晋三元首相を手製の銃で殺害した山上徹也被告だ。

 僭越ながら、筆者は2年半前の『山上容疑者の銃弾で変わった日本は「とっくにテロに屈している」という現実』(2022年9月)で「これから日本には第二、第三の山上容疑者が増えていく」と予測している。

「山上容疑者の銃弾で変わった日本は「とっくにテロに屈している」という現実」(ダイヤモンド・オンライン 22年9月15日)のスクリーンショット「山上容疑者の銃弾で変わった日本は「とっくにテロに屈している」という現実」(ダイヤモンド・オンライン 22年9月15日)のスクリーンショット

 競馬の予想のように「なんとなく勘で」というわけではなく、そう考える明確な根拠がある。それは、山上被告のテロが「大成功」したという事実だ。どういう理屈をつけようとも、この事実は動かし難い。

 事件直後にマスコミが連日連夜報じていたように、山上被告は母親が入信した旧統一教会を恨んでおり、この教団を壊滅させるという目的のためにさまざまな計画を練って、教団に関係が深い安倍元首相を狙って実際に殺害した。

 そんな「政治テロ」の結果、日本はどう変わったか。

 世論は「旧統一教会問題」が大盛り上がりした結果、岸田文雄首相(当時)は「関係断絶」を宣言。日本政府は解散命令請求を発出した。地下鉄サリン事件から30年の節目となる今年、「カルト宗教への憎悪」が高まるタイミングに合わせて、東京地裁判決が出るのではないかとも言われている。