“ギョーカイのジョーシキ”が
世間とズレまくるワケ
CMの差し替え、停止をした企業は75社超えで、朝から晩までACジャパン。キッコーマン1社提供の「食いしん坊万才!」も放送見合わせ。「実は私も」と同様の被害を訴える女性も続々とあらわれ、ネットやSNSでは「早く潰れろ!」の大合唱...…。中居正広問題に揺れるフジテレビが「四面楚歌」状態になっている。
なぜここまで世間を敵に回してしまったのかというと、「最悪の記者会見」をしたことが大きい。細かいところを挙げればキリがないが、企業の危機管理に長く関わってきた立場で言わせていただくと、その中でも以下の3点が特に「最悪」だ。
1.週刊誌発の疑惑報道なのに週刊誌を排除
2.テレビ局の会見なのに「動画撮影禁止」
3.一般人が理解できない「ギョーカイ人の論理」で自社の正当性を主張
まず、1はどういう理由があろうとも世間的には「逃げた」ようにしか映らない。2も「クサいものにフタ」の印象が否めない。企業の不祥事会見があると、テレビのニュースでは経営者が頭を下げ、釈明をする映像が流れる。それにも関わらず、テレビ局が自社の不祥事でそれを禁じるというのは、あまりにも身勝手だ。
フジテレビは報道機関として、不祥事企業が1や2のような対応をしたら「ひどい会見だ」と文句を言っていた。それが全て自分にはね返ってくるという「特大ブーメラン」になっているのだ。
だが、この2つに比べてはるかに深刻なのは3の《一般人が理解できない「ギョーカイ人の論理」で自社の正当性を主張》したことだ。
テレビや芸能界、広告代理店で働くきらびやかな「ギョーカイ人」は庶民の憧れの対象になる反面、一般社会とかけ離れた非常識さが問題になることも少なくない。
今回の会見でも、フジ経営幹部たちのそういう悪い面がモロに出てしまった。今はさほど問題視されていないが事実が明らかになっていくにつれ、その非常識さがフジテレビの存続を揺るがすほど大きな「致命傷」になっていくと考えている。
なぜそうなってしまうのかということを順を追って説明していこう。