【一発アウト】税務署が許さない「意外な経理ミス」
2023年10月からインボイス制度が始まりました。「増税ではないか?」「経理の手間が増え、負担が増大する」など、さまざまな意見が出ています。そのインボイス制度の影響を強く受けるのが「ひとり社長」です。しかし、業種・業態・売上規模によっては、「インボイスに登録しないほうがいい」と提案できるケースもあり、戦略的な選択が求められる制度ともいえるのです。
本連載は、経費精算から決算・申告まで、ひとり社長の経理の基本を学ぶものです。著者は、税理士の井ノ上陽一氏。インボイス制度、電子帳簿保存法に完全対応の『【インボイス対応版】ひとり社長の経理の基本』の著者でもあります。「ひとり社長なら、経理はこれだけでいい!」とポイントをおさえた1冊になっています。

決算特有の処理に注意!
みなさん、令和6年分の確定申告は無事におすみでしょうか。本日は「決算と税務署」をテーマにお話しします。
決算とは、年に1回、会社の業績を確定させることを言います。基本的には、日々の「集める」「記録する」「チェックする」の積み重ねです。決算特有の処理を見ていきましょう。
●税務署は見ている! 未回収の売上計上に注意!
決算月が3月なら、3月の売上で、4月以降に入金されるものも入れなければいけません。売上や経費(仕入)の時期は、税務調査でも注意深くチェックされるところです。「時期がずれただけじゃないか」と思われるかもしれませんが、時期がずれるとそこに罰金がかかります。入念にチェックしましょう。
●未払いの経費計上
発生していてまだ払っていない経費を計上します。3月の請求書でまだ払っていないものやカードで払った経費です。税金についても、「法人税、住民税及び事業税等/未払法人税等」「租税公課/未払消費税等」とその事業年度の未払いの経費として入れることになります。通常、決算が終わり、次の事業年度になってから税金を払いますが、その税金は決算日に発生すると考えるからです。
●前受けした売上の計上
代金を前もって受け取った場合は、売上ではなく前受収益、または前受金として処理し、翌期の売上にします。
●前払いした経費の計上
すでに支払ったものでも、その経費が翌期以降のものである場合は、前払費用として処理し、翌期の経費にします。広告宣伝費、外注費などに注意してください。
●減価償却
30万円以上の資産を価値の減少に応じて、経費化する方法です。
●棚卸し
在庫がある場合は、決算月にカウントします。これを棚卸しと言います。在庫管理がいい加減だと、ここで数字が合わず大変なことになります。
●その他の整理
決算の見栄えを良くするためにその他の整理を行います。例えば、社長への仮払いが残っていたら、決算までに整理するのです。
(本原稿は『【インボイス対応版】ひとり社長の経理の基本』を一部抜粋・加筆したものです)