
【サンノゼ(米カリフォルニア州)】米画像処理半導体(GPU)大手エヌビディアのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は、人工知能(AI)インフラと推論モデルを驚異的なペースでアップグレードし、新製品を投入していく方針を示した。だが一部の顧客は速さにそれほどこだわってはいないかもしれない。
フアン氏は18日のカンファレンス「エヌビディアGTC」で2時間にわたって基調講演を行い、現行の最先端AIシステム「ブラックウェル」のアップデート版「ウルトラ」を年内に発売すると発表した。さらに、より高性能の新型システム「ルービン」を2026年下半期に発売する見通しを示した。ルービンのウルトラ版はブラックウェルの14倍の性能を持つという。
エヌビディアのGPUとインフラは最先端AIモデルの学習向けなどで需要が極めて高い。多くのテクノロジーを有する同社の時価総額は現在、2兆8000億ドル(約417兆円)超と世界トップクラスだ。ただし首位からは陥落している。
これまでコンピューターは情報を取り出すためのものだったが、今年は推論というコンピューティングの新時代が始まると多くの人が考えている。それにははるかに多くの計算能力が必要となる。「必要な計算量は、昨年の今頃考えていた量の優に100倍だ」。フアン氏はここ数カ月、この言葉をたびたび口にしている。
同氏によると、ブラックウェルは前世代の「ホッパー」を急速に上回りつつある。壇上では冗談めかして「ホッパーで何とかなる場合もある。多くはないが」と述べた。「今はテクノロジーの進化が速く、作業負荷が極めて大きい。適切なバージョンへの投資をお勧めする」