京都の人気鍼灸師で、SNSでも人気の「すきさん」(本名:鋤柄誉啓 すきから・たかあき)が書いた『メンタル養生』が発売中だ。本書はお疲れ気味の人が、心身ともにラクになれるコツと考え方を紹介しており、「疲れていても気楽に読める」「現代人必携のセルフケアバイブルだと思う」など、多くの口コミが寄せられている。
同書の刊行に寄せて、ライターの小川晶子さんに寄稿いただいた。(ダイヤモンド社書籍編集局)

【子どもが弱っている時】「慰める」でも「放置」でもない、第3の接し方とはPhoto: Adobe Stock

悲しみの森に入る子

 小学生の息子(思春期に入ったばかり)はちょっとしたことでクヨクヨし、すぐにやる気をなくす。

「今日は係の仕事を忘れて遊びに出てしまったから、きっとみんな怒っている。『わざとサボった』って言われる」

 大した話じゃないように思うのだが、ネガティブ思考にハマりこんでしまうとなかなか抜け出ることができない。モノに当たったり、一人で部屋に閉じこもったり。

 慰めの言葉がかえってネガティブに拍車をかける場合もあり、そういうときはしばらく放っておくしかない。「元気出してよ」と頻繁にちょっかいを出す弟を止め、「彼はいま悲しみの森に入ってしまったんだ。そのうち出てくるよ」と話している。
 下手に説得を試みると、だいたい失敗して家全体が険悪なムードになってしまうのだ。

 繊細な彼はいいところもたくさんあるのだが、「もうちょっとメンタルが強くなったらいいのに……」とつい思ってしまう

メンタルは強くならない

 しかし、「メンタルは強くならない」らしい
 東洋医学的な見地から「心の不調」をラクにするヒントが書かれている本『メンタル養生』にはこうある。

 もし仮に、心が筋肉と同じように「鍛えられる」ものだとしたら、日々多様なストレスにさらされている私たちの心は、鋼のように強靭なものになっているはずですが、実際はそうではありませんよね。

「メンタルを強くしよう」と奮い立たせても、心はちょっとした一言で弱ってしまいます

 ストレスにさらされ続けて、弱ったり、鈍感になったりすることはあっても、強くはならない。そう、メンタルはいくら鍛えても強くはなりません

――『メンタル養生』P.39より

体からアプローチする

 では、どうすればいいのかというと、それが本書のタイトルにもなっている「メンタル養生」である。

 著者のすきさんは鍼灸師。東洋医学の「養生の知恵」を使い、体を温めたり、動いたり、手を当てたりしながら心をラクにする方法を伝えている。
 東洋医学をベースにした考え方では、「心と体はひとつのものである」という見方があり、体のほうからアプローチすることで心を養うことができるという。

 これは目からウロコだ。
 弱っている心をどうにかしようとするのではなく、体に働きかけることで心も整えるのである。

 本書にはメンタル養生のさまざまな方法がやさしい言葉とイラストで紹介されている。
 たとえば、悲しみの森に入ってしまった息子には、
 ・そっと手を当てる
 ・蒸しタオルを用意して体をあたためてあげる

 などの方法が考えられる。

 家全体の空気が悪くなっているときは、
 ・窓を開けて空気を入れ替える
 など「場の空気を巡らせる」のもいいだろう。

 そうやって気を巡らせたあとで、本人が話したくなったら話を聞けばいい。
 メンタルは強くできないものなのだという前提で、心を養っていきたい。