米国株一辺倒だった投資家、他市場に目を向け始めるPhoto:Bloomberg/gettyimages

 カナダ生まれのキース・モファットさんは、オランダに住み、アイルランドのパスポートを持つ。しかし最近まで、彼の株式ポートフォリオは(ほぼ)米国株のみで構成されていた。

 米国株の比率が約90%を占めている時期もあった。モファットさんはこの数週間に米国株を全て売却し、欧州などの国際企業の株式に投資する上場投資信託(ETF)と欧州の防衛関連株に資金を振り向けた。米国株は割高だと彼は言う。だが、ドナルド・トランプ米大統領がカナダを「51番目の州」と呼んだことも心証を害した。

「それが決定打だった」とモファットさんは話す。「米国で起きていることに怒っている欧州の投資家は多い。そんなところに投資する理由などあるだろうか」

 米金融大手JPモルガン・チェースが、2025年は米国例外主義が「広範で支配的な」投資テーマになると宣言してからわずか2カ月で、世界中の個人投資家が他の市場に目を向け始めている。彼らは米国株のアウトパフォーマンスの波に乗る代わりに、関税戦争や米外交政策の大きな転換が及ぼす潜在的な影響を見極めようとしている。そして、この値動きの荒い期間の大半で、中国株と欧州株が予想を上回るパフォーマンスを示した。