トランプ貿易戦争、高級車が業界最大の敗者Photo:Bloomberg/gettyimages

 ドイツ自動車大手BMW「3シリーズ」はかつて世界のベストセラー高級車ランキングで首位だった。現在、このスポーティーセダンは関税の犠牲者という、あまり望ましくないリストに入っている。

 スポーティーで比較的手頃な価格のBMW3シリーズなど十数種ほどの外国製モデルが、ドナルド・トランプ米大統領の仕掛けた貿易戦争に巻き込まれている。メキシコ工場で生産されるこのドイツ製セダンは、自由貿易に関する米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の要件を満たしていないからだ。この要件を満たした多くの自動車メーカーは、今月新たに発効した25%の関税の適用を一時的に猶予された。

 3シリーズには最近まで、米国に輸入される際に2.5%の関税が課されていただけだった。3シリーズのメーカー希望小売価格は4万7000ドル(約700万円)前後だが、BMWは系列販売店に対し、これからは27.5%の関税がかかるため、販売価格に1万ドル余りが上乗せされる可能性があると通知した。

 BMWは今のところ、追加コストを顧客に押しつけるつもりはない。BMW北米部門は販売店に、5月1日までは同社が25%の追加関税分を全額負担すると伝えた。

 ニュージャージー州イートンタウンで販売店「サークルBMW」を共同経営するトム・デフェリス3世氏は、BMWが追加関税分を負担すると約束しているため、少なくともしばらくは安心だと語った。

「今後2カ月間については、大きな確実性が得られている。その後どうなるかは誰にも分からない」と同氏は述べた。