コーヒーがないと頭が回らない――それは、集中力の問題ではなく、依存への入口かもしれません。カフェインは適量なら覚醒を助けますが、摂りすぎれば不安や耐性を招き、かえって脳を鈍らせる可能性があるのです。
東京農業大学で栄養について長年研究し、医師としても活動する田中越郎氏の新刊『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事術』をもとに解説します。
「コーヒーを飲まないと頭が回らない」は危険信号
脳に刺激を与える代表的な物質にカフェインがあります。
カフェインを摂取した直後、脳はキリッとします。具体的には集中力が向上します。
その結果、脳の反応時間や記憶力はよくなります。
しかし、創造性に関しては効果が証明されていないようです。
ところが、カフェインを急に大量摂取した場合は、不安や緊張を引きおこすことがあります。
これは逆に集中力を低下させる、ということです。
つまりカフェインは、適量なら集中力を向上させますが、過量なら集中力を低下させるのです。
また長期的にカフェインを摂取し続けると耐性が生じます。
つまり同じ効果を得るためには、より大量のカフェインが必要となるのです。
そしてそのうち依存症になります。
依存症まで行くと、カフェインを摂取しないと、頭痛や疲労感などの離脱症状が生じます。
この離脱症状を避けるために、常にカフェインを摂り続けないといけない体になってしまうのです。
では、カフェインはどの程度が適量なのでしょうか?
カフェインの1日当たりの摂取上限量に公式規定はありません。
しかし、300~400mg以下にとどめておくのがよいでしょう。
普通の緑茶や紅茶なら1杯のカフェイン量は10~60mg程度ですので、飲み過ぎをあまり気にしなくて大丈夫です。
コーヒーの場合は、カップ1杯のカフェイン量は約100mgなので、毎日飲むのなら、1日3杯までにとどめておいてください。
なお、お茶の中でも玉露だけは例外です。
玉露には100㎖lにつき約160mgのカフェインが入っているので、飲み過ぎには注意してください。
また、カフェイン入りを売りにしているエナジードリンクには、1本につき100~150mg程度のカフェインが入っています。
このようなドリンク類はイザというときだけ飲むものであり、漫然と常飲するものではありません。
コーヒーやお茶には、気分をほっこりさせる作用があります。
休息時にコーヒーを飲むとリラックスできるのと同時に、カフェインが脳を刺激してくれるので、眠気は吹っ飛び、休息終了後はすぐに集中してものごとに取り組むことが可能です。
なお、カフェインに弱い人は、夜寝付けないことがあるので、15時以降はコーヒーや濃いお茶は飲まない方がいいでしょう。
(本記事は、書籍『医者が教える 栄養学的に正しい最高の食事術』から一部抜粋・編集した記事です。)
●東京農大名誉教授・栄養学の専門家である医者が教える「栄養学的に正しい」食事の大原則
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ひとつの論文やエビデンスだけを信じた食事では、栄養が偏ってしまいます。
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本書では、東京農業大学で栄養学と生理学の研究を続け、医師でもある著者が「栄養学的に正しい」最高の食事術を紹介します。
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基本となる知識と具体的な食事術を学ぶことで「健康法」迷子から抜け出し、食事によって人生が変わる1冊です。
主要目次
第1章 まず知るべき「栄養と食品」の基本
栄養バランスは毎日考えなくていい─「1週間」でつじつまが合えばOK
「完全栄養食」を信じるな─「これだけを食べれば大丈夫」などありえない
トクホと「健康食品」はまったくの別物─機能性食品の違いをおさえる
第2章 「病気と栄養」の危ない関係
ジュースが危ない本当の理由─果糖とブドウ糖はヤバすぎる
「体にいい油」も要注意─変性すれば、すべて悪玉
「コーラで歯が溶ける」は本当─リン酸の強さとその代償
第3章 栄養学的に「ヤバい」食習慣
ファストフードで地雷を踏むな─シェイクのヤバさを知る
黒烏龍茶でチャラにはならない─「焼け石に水」で食べ過ぎを招く
プロテインが逆効果になる?─肝臓・腎臓が酷使される理由
第4章 頭が悪くなる「脳をダメにする」食事
ビタミン不足は静かに脳を鈍らせる─頭が悪くなる仕組み
「カルシウム不足でイライラする」のは本当か?─科学的根拠はない
「コーヒーを飲まないと頭が回らない」は危険信号─カフェイン依存のリスク
第5章 「体によさそう」に惑わされないための知識
野菜ジュースで「野菜」は摂れない─ビタミンCも食物繊維も抜けている
「グルテンフリー神話」に惑わされるな─アレルギーがなければ無視していい
サプリメントは買わなくていい─価格も品質も信用できない
第6章 「食べないほうがいい」食品の誤解を解く
コレステロールは敵ではない─体の必須成分と動脈硬化の関係
「白米を食べると太りやすい」のはなぜか─長所と短所を理解する
「うま味調味料=危険」は思い込み─グルタミン酸ナトリウムの正体
第7章 誰でもすぐに実践できる「栄養学的な食習慣」
チェーン店で健康的に食べる方法─最強はリンガーハットの「ちゃんぽん」
パフォーマンスを上げるには「お酢」を飲む─最速でシャキッとする
「腸活」ブームが見落としているもの─腸内細菌は大腸にいる
第8章 「体調と体質を改善する」食事術
風邪をひいたらホットジュースを飲む─「ダイダイ湯」「生姜湯」がいい
食べるべき食品ベスト1は「納豆」─ビタミンKが爆増する発酵の力
「なんとなく不調」なときは食べものを疑う─5つの食事リセット術
第9章 「ストレスから体と心を守る」食事術
老化と病気は抗酸化物質で防ぐ─「ポリフェノールたっぷり」に騙されない
「おいしく・安く・栄養豊富」な旬の食材を選ぶ─無駄にお金をかけなくていい
強いストレスには「動物性たんぱく質」と「ハーブティー」─メンタルを整える食事
第10章 「やせながら元気になる」栄養学的ダイエット術
「2日で1.5kg」は誰でもやせられる─大切なのは継続できるかどうか
リバウンドを防ぐための小さな工夫─体だけではなく「心の健康」を維持する
「体脂肪率」に振り回されるな─大切なのは「経過」を追うこと
第11章 「健康なまま長生き」するための食事術
「空腹は最強のクスリ」は本当か?─実践してわかった長所と短所
40歳から筋肉は勝手に減り続ける─寝たきり回避には「たんぱく質」が必須
発がん性物質を避けるには「焼く」よりも「煮る」─肉はマリネがおすすめ