【超激痛】尿管結石の予防に効く「3つの習慣」
人生100年時代は、健康こそ最大の資産です。しかし40歳を越えると、がん、糖尿病、腎臓病といった病気を避けては通れません。国立がん研究センターによれば、40～49歳のがん患者数は、30～39歳と比べると3倍以上です（2020年）。もちろん50代、60代と年齢を重ねるにつれ、がん患者数はどんどん増えていきます。
本連載は、毎日の食事から、大病を患ったあとのリハビリまで、病気の「予防」「早期発見」「再発予防」を学ぶものです。著者は、産業医×内科医の森勇磨氏。初の単著『40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」』を出版し、感染症医・神戸大学教授の岩田健太郎氏が「安心して読める健康の教科書」と推薦文を寄せています。出版を記念し、内容の一部を特別に公開します。
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【超激痛】尿管結石の予防に効く「3つの習慣」
「二度とかかりたくない、人生で一番痛い思いをした病気」を挙げるとすると、まっさきに「尿管結石」が浮かぶ人も少なくないでしょう。
尿管結石とは、腎臓と膀胱の通り道に石ができ、「尿管」という管に石が詰まる病気のことです。腰や下腹部に体感したことがないような激痛が生じます。
あまりの痛みで、大の大人がうずくまって、腰を丸めて救急搬送されてくることも病院ではしょっちゅうです。恐ろしいことに尿管結石は「再発しやすい病気」としても有名です。治療をしなければその後10年間の尿管結石の再発率が50％というデータも存在します（※1）。普段の生活での再発予防の注意点について紹介しておきます。
習慣① カルシウムをたくさんとる
最大の対策は「カルシウムの摂取量を増やすこと」です。尿管結石の90％の原因は「カルシウム結石」です。カルシウムとシュウ酸、リン酸といった「酸」が結合することで石ができます。「カルシウムをとりすぎると、尿の中のカルシウムの量が増えて石ができやすくなる」という説がありました。
しかし、現在ではカルシウムの摂取量は「増やしたほうがよい」とされています。9万人のデータを対象にしたアメリカの研究では、食事からカルシウムを摂取している量が多い人のほうが、尿管結石ができにくかったという結果が出ています（※2）。ちなみに、サプリメントでカルシウムを摂取している人は結石ができやすくなってしまいました。
ただデータがあるとはいえ「カルシウムの摂取量を増やすとカルシウム結石が減る」という現象がまったくもって腑に落ちない人も多いでしょう。
実は、この現象はカルシウムの「シュウ酸」への作用が影響しているのです。カルシウムは腸の中でシュウ酸と結合し、結晶を作ります。腸でできた結晶は尿ではなく「便」として体の外に排出されます。その結果、尿に流れるシュウ酸の量が減り、尿管結石ができにくくなるのです。
逆にカルシウムの摂取量が少ないと、シュウ酸が尿に流れて結石ができやすくなってしまいます。もちろんあまりにカルシウムを摂取しすぎると、シュウ酸と反応しきれなかった分のカルシウムが尿に流れて結石のリスクが上がってしまうので、「ちょうどシュウ酸と適度に反応しつつ、カルシウムも余らせないよい塩梅」が理想ではあります。
しかし、そもそも日本人のカルシウムの平均摂取量は505mg（中高年の推奨摂取量は650～700mg）とかなり少ないです（※3）。骨への影響も含め摂取しすぎより「しなすぎ」を意識したほうがいいでしょう。日本泌尿器科学会のガイドラインでも、尿管結石予防に600～800mgのカルシウム摂取を勧めています（※4）。適度なカルシウム摂取を意識してください。
続いて、残り2つの習慣をご紹介します。
