糖尿病を招く「40歳からの絶対NG行動」とは?
人生100年時代は、健康こそ最大の資産です。しかし40歳を越えると、がん、糖尿病、腎臓病といった病気を避けては通れません。国立がん研究センターによれば、40~49歳のがん患者数は、30~39歳と比べると3倍以上です(2020年)。もちろん50代、60代と年齢を重ねるにつれ、がん患者数はどんどん増えていきます。
本連載は、毎日の食事から、大病を患ったあとのリハビリまで、病気の「予防」「早期発見」「再発予防」を学ぶものです。著者は、産業医×内科医の森勇磨氏。初の単著『40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」』を出版し、感染症医・神戸大学教授の岩田健太郎氏が「安心して読める健康の教科書」と推薦文を寄せています。出版を記念し、内容の一部を特別に公開します。

糖尿病を招く「40歳からの絶対NG行動」とは?Photo: Adobe Stock

知らないと一生後悔する! 糖尿病の話

 あまり噛まずに一気に食べるのは医学的によくありません。血糖値が急激に上がるためです。食後に血糖値が急上昇することを「血糖値スパイク」と呼びます。

「なぜ血糖値スパイクが有害なのか」は糖尿病のしくみが関係しています。

 まず、糖尿病になり高血糖状態が続くと「活性酸素」と呼ばれる有毒な物質が生まれ、血管にダメージを与えます。そしてこの状態が続くと、血管がどんどんボロボロになるので、「抗酸化物質」が用意され、血管をガードします(※1、2)

 一方、糖尿病でない人に血糖値スパイクが起こると、普段の血糖が正常な分、血管の「準備」ができていないため、一方的に血管が傷つけられてしまいます。糖尿病の人の場合でも、抗酸化物質が用意されているとはいえ、血糖値スパイクが起こるのはもちろん望ましくありません。つまり、糖尿病の人であれ、糖尿病予備軍であれ、正常な人であれ、血糖値スパイクは有害なのです。

 糖尿病の本質は「おしっこに糖分が多く含まれること」ではなく、「血管が傷つくこと」にあります。むしろ糖尿病ではなく、「血管ボロボロ高血糖病」といった名称のほうが適切かもしれないくらい、血管との関わりのある病気なのです。

 糖尿病の指標になる「HbA1c」は2~3か月の血糖値の平均値です。極端な例を出すと、血糖値が一定して100の人と、0から200を行ったり来たりして平均して100の人では、HbA1cの値は同じです。

 もし食後の血糖値が高く、普段の血糖値はそれほど高くない場合はHbA1cが正常範囲になり、血糖値スパイクに気づかないこともあります。それゆえ、血糖値スパイクは「隠れ糖尿病」とも呼ばれています。さてここからは、予防のポイントを見ていきましょう。