習慣② クエン酸をとる
「クエン酸」を多く摂取するのも効果的です。クエン酸は尿の中でカルシウムと結合してくれます。先述したように「シュウ酸」や「リン酸」といった酸とカルシウムが結合すると「石」ができます。クエン酸はこの反応に割って入り、邪魔してくれる非常にありがたい存在なのです。
尿酸値が高いと「尿酸結石」を引き起こす可能性があるのですが、ここでもクエン酸は有効です。クエン酸は尿を「アルカリ化」する作用があり、尿酸が溶けやすい環境を作ってくれるのです。
クエン酸はレモン・梅干し・カシスといった「想像するだけで酸っぱい」ような食べ物に多く含まれています。結石予防にはクエン酸を多く含んだ酸っぱい食べ物を定期的に摂取しましょう。
他にも、シュウ酸を摂取しすぎないことも有効です。身近な食材では「ほうれん草」に多く含まれています。シュウ酸は水溶性なので、ゆでれば大部分は水に溶けます。ほうれん草は「ゆでて食べる」のがオススメです。
習慣③ 水分をしっかりとる
そして気をつけていただきたいのが「脱水」です。体内の水分が少ないと尿が濃縮されて発作が起こりやすくなります。「痛風」も同様です。血液が濃縮され、相対的に尿酸値が上がるので発作が起こりやすくなります。
例えば「ビールを何杯も飲んだ後、水も飲まずにサウナに入る」という行為は絶対にやめましょう。痛風や尿管結石が起きるお膳立てをしているようなものです。
逆に言えば、水分をしっかり摂取すれば発作のリスクを下げられるということでもあります。1日2Lの水分摂取を行った場合、5年間の再発率を15%下げたというデータも存在しますので、しっかり水分摂取をするようにしましょう(※5)。
「カルシウム」「クエン酸」「水分」の摂取が尿管結石予防には効果的です。加えて、ほうれん草は必ずゆでるなど、シュウ酸の摂取を減らす対策も有効でしょう。「石ができない体作り」を心がけ、尿管結石の激痛を未然に防いでいきましょう。
※1 J Uribarri,et al. The first kidney stone. Ann Intern Med. 1989 Dec 15;111(12):1006 9.
※2 G C Curhan,et al. Comparison of dietary calcium with supplemental calcium and other nutrients as factors affecting the risk for kidney stones in women. Ann Intern Med. 1997 Apr 1;126(7):497 504.
※3 厚生労働省 国民健康・栄養調査 2019年 版
※4 尿路結石症診療ガイドライン 2013年版
※5 Borghi L, Meschi T, Amato F, et al. Urinary volume, water and recurrences in idiopathic calcium nephrolithiasis a 5 year randomized prospective study. J Urol.1996 155 839 43.
(本原稿は、森勇磨著『40歳からの予防医学 医者が教える「病気にならない知識と習慣74」』を抜粋・編集したものです)