「全社員に買って配りました」
「入社する人への課題図書にしています」
そんな声が多数寄せられているのが、書籍『ベンチャーの作法 -「結果がすべて」の世界で速さと成果を両取りする仕事術』です。転職エージェント「キープレイヤーズ」代表の高野秀敏さんが、1.1万人以上のキャリア相談、4000社以上の採用支援の経験から、ベンチャー流の「結果を出す働き方」をまとめました。“きれいごと”抜きの仕事論に、社員や経営者、ベンチャーや大企業を問わず、刊行直後から多数の感想が投稿される異例の反響となっています。
この記事では、本書に大いに共感したという読者のひとり、株式会社ウィルゲートの共同創業者・専務取締役である吉岡諒さんに、本書からの気づきを語っていただきました(ダイヤモンド社書籍編集局)。

以前の記事でもお伝えしましたが、創業当初の私はいっさい現場に出ることがなく、それによって会社を潰しかけました。
そこで、自分が現場に出るようにしたところ、ある「大事なこと」がわかりました。そのお話しをしますね。
ある経営者の自宅で言われた「重すぎるひと言」
私がまだ20歳の創業当初、弊社のSEO事業は完全成果報酬でやっていました。
弊社施策によって、クライアント企業のサイトが検索結果の上位に表示されるようになった際は報酬をもらいますが、成果が出ていない場合はお金をもらっていませんでした。
そのため当時の私は「お金はもらっていないのだから、施策がうまくいかなくても文句を言われる筋合いはない」と、お恥ずかしながら思っていました。
そんなとき、あるクライアント企業の経営者の自宅に招待されたんです。
「パパー」と言って走り回っている子どもたちの姿を眺めていると、その経営者はこう言いました。
「吉岡くん、検索結果で1番目に表示されるのと、10番目に表示されるのとでは、売上は10倍以上違ってくる。吉岡くんが成果を出してくれないと、この子たちの生活も維持できない。この家の未来が君にかかってるんだ」
お客様から、そんなことを言われたのは初めてでした。
「自分たちがやっている仕事は、それくらい重要なことなのか」
お客さんの気持ちを直接感じたことで、「クライアントファースト」という当たり前の意識が初めて芽生えました。
上から眺めているだけじゃ、自社も他社もわからない
ビジネスの世界には「3C分析」というマーケティング手法があります。
3Cは、「Customer(顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」のことです。
お客様は何を求めているのか。
自社に満足してくれているのか。
ライバル企業はどうなのか。
自社はすごいのか、どうなのか。
自分が現場に出て手足を動かすことで、初めて3Cを正しく理解できました。
そこから、戦略を立てられるようになり、業績も回復していったんです。
停滞感があるなら、「現場」に出よう
手足になっていないと、頭脳にもなれません。
だから私は、社員200名の組織になった今でも、新規事業を伸ばすために現場に出ています。
昼食を取る時間さえなく、毎日18件近くの商談をこなしていますが、それも、「現場でしかわからないことがある」と信じているからです。
近年は、市場がどんどん変化するようになりました。
組織の上層でかまえていると、市場を捉えられなくなります。
組織の経営者やリーダーは、もし停滞感があるなら、現場に出てみるといいと思います。
きっと、起死回生のヒントとなる予想外の発見があるはずです。
(本稿は、書籍『ベンチャーの作法』に関連した書き下ろしです。書籍では「なにがあっても結果を出す人の働き方」を多数紹介しています。)