「全社員に買って配りました」
「入社する人への課題図書にしています」
そんな声が多数寄せられているのが、書籍『ベンチャーの作法 -「結果がすべて」の世界で速さと成果を両取りする仕事術』です。転職エージェント「キープレイヤーズ」代表の高野秀敏さんが、1.1万人以上のキャリア相談、4000社以上の採用支援の経験から、ベンチャー流の「結果を出す働き方」をまとめました。“きれいごと”抜きの仕事論に、社員や経営者、ベンチャーや大企業を問わず、刊行直後から多数の感想が投稿される異例の反響となっています。
この記事では、本書に大いに共感したという読者のひとり、株式会社ウィルゲートの共同創業者・専務取締役である吉岡諒さんに、本書からの気づきを語っていただきました(ダイヤモンド社書籍編集局)。

「頭脳」になろうとして、経営危機に
『ベンチャーの作法』を読んで、「頭脳になるな 手足になれ」という言葉に感銘を受けました。
というのも、私自身が、かつては「頭脳」になろうとしていたからです。
ですがその結果、会社の経営危機につながりました。
そのお話をしたいと思います。
創業2期目にして、社員の6割が離職
私は高校1年のときに父を亡くしたため、家にはお金がなく、大学の学費を稼ぐために高校卒業3日後に起業しました。
ですが、それまでにアルバイトさえしたことがなかったので、「経営者」に対しては漫画に出てくるような「偉そうな人」のイメージしかありませんでした。
そのイメージで起業したので、「経営者は事業や戦略を決めるのが仕事」「営業なんて、社員にやらせればいい」と思っていました。
ただ、現場を知らずに事業責任者をやっていたので、絵に描いた餅みたいな事業戦略を描いてしまい、その結果、人は増えども売上は上がらずの状態に……。
しだいに業績が悪くなり、毎月700万円近くの赤字状態に。当時30人いた社員のうち、20人が退職していきました。
「現場」に出て初めて、自社のことがわかる
経理、営業、営業サポート、コンサルタント。
全員抜けてしまったため、しかたなく、私が現場の仕事もするようになりました。
既存顧客100社の対応をして、次々に来る月100件以上のお問い合わせを一人でさばきつつ、新規で10社受注して。請求書も自分で印刷して紙を折りたたんで郵送していました。
そこで初めてお客様の矢面に立ったのですが、そのときの学びがとても深かったんです。
たとえば、自社プロダクトは最高だと思っていましたが、いざ100社の対応をすると、想像以上にクレームが来ていることを知りました。そこで初めて、「自社商品はイケてない」と気づきました。
他にも、お客様が見せてくれたライバル会社の提案内容がとても素晴らしく、自社が進化するきっかけになりました。
自社のサービスは業界No.1だと思い込んでいましたが、現場でお客様と対面して初めて、自社の未熟さを理解できたのです。
(本稿は、書籍『ベンチャーの作法』に関連した書き下ろしです。書籍では「なにがあっても結果を出す人の働き方」を多数紹介しています。)