「ベンチャーにおいて、社員に求められることはたった1つです」
そう語るのは、ベンチャー・スタートアップに特化した転職エージェント「キープレイヤーズ」代表の高野秀敏さん。自身も1.1万人以上のキャリア相談、4000社以上の採用支援の実績を持つヘッドハンターであり、活躍する人の特徴を「現場」「経営者」の両方の目線で知り尽くしています。
その高野さんがベンチャー流の「なにがあっても結果を出す働き方」をまとめたのが、書籍『ベンチャーの作法』です。圧倒的に活躍する人に共通する「5つの行動原則」を紹介。“きれいごと”抜きの仕事論に、「こんな本がほしかった」と話題に。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「ベンチャーで活躍する人が大事にしていること」をお伝えします。

ベンチャー・スタートアップにいる「仕事ができる人」が大事にしていること・ベスト1Photo: Adobe Stock

ベンチャーで求められる「たった1つのこと」

 仕事を予定どおりに進めて、完了させること。
 取引先やお客様と良好な関係をつくること。
 業務の無駄を指摘して、改善をはかること。

 仕事において求められることは無数に存在します。
 ですがベンチャーにおいて、求められることはたった1つです。

「結果」を出すことです。

 どれだけ努力をしても、時間を費やしても、たとえ指示どおりの納期や形で完了できたとしても、その仕事で結果を出せなければ評価はされません。
 反対に、少し強引に仕事を進めたとしても、会社に来なくても、普段は遊んでいるように見えても、結果が出れば評価されます。

 努力や頑張りといった「過程」ではなく、「結果」のみが見られるのです。

「PDCA」より大事なこと

 なぜならベンチャーにとって、現状維持は「死」と同じだから。
 つねに行動を起こして、何かしらの結果を得て、それを振り返り、次につなげる。そうやって、さらに大きな結果を出す。
 PDCAをつねに回し続ける必要があります。

 というよりも、

 DDDDDDDDDCA

 くらいのイメージです。
 これが成長途上の組織で求められる姿勢です。

すべては「結果」のあとについてくる

 ベンチャーと大企業では、仕事における成長ステップが真逆です。

 大企業なら、まずはプロジェクトの一部を担当し、言われたことを着実にこなして信頼を得ることで、しだいに結果を求められるような仕事を任されます。評価され、スキルや役職が上がった先に、結果につながる仕事が待っています。

 ですがベンチャーでは、仕事で結果を出した人が評価され、昇進し、さらに大きな仕事を任されます。与えられた仕事をこなすだけの人は、いつまでたっても日の目を見ません。

 あらゆることは、結果を出したあとで手に入るのです。

ベンチャーには活躍するための「作法」がある

 ベンチャーで結果を出すには「作法」が必要だと考えています。具体的には、以下の5つの点について、ベンチャーには大企業と異なる作法が存在すると感じています。

 ・目標設定
 ・任務遂行
 ・指示対応
 ・連帯形成
 ・職務越境

 私がこれまでに見てきた「圧倒的に活躍する人たち」の共通点でもあります。
 ベンチャーで活躍するには、この5つの点において、「結果を出す」ことを重視して行動する必要があります。

 今は結果を出せていない人も、「仕事ができない」というわけではありません。作法を知らないから、結果が出ていないだけです。

 運動神経が抜群の人であっても、野球やサッカーなど、競技のルールを知らなければ活躍できないのと同じです。頭の切り替えさえできれば、おのずと行動も変わり、結果もついてくるでしょう。

(本稿は、書籍『ベンチャーの作法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)

高野秀敏(たかの・ひでとし)
株式会社キープレイヤーズ代表取締役。東北大学特任教授(客員)。文部科学省アントレプレナーシップ推進大使
これまでに1.1万人以上のキャリア相談、4000社以上の採用支援をおこなってきたヘッドハンターかつ経営者。とくにベンチャー・スタートアップへの転職支援に特化している。エンジェル投資家、顧問、社外役員としても活動しており、関わる企業は173社。識学など投資先企業8社と、創業から役員として関わったクラウドワークス、メドレーの2社が上場している。新卒ではインテリジェンスに入社。上場時のメンバーとして、ベンチャーから大企業への変化を身をもって体験した。自身も圧倒的な結果を出し、その後に独立。